〜病院勤務が増える背景と診療所の採用戦略〜

毎年秋口から本格化する新卒歯科衛生士の就職活動。
関東エリアでは、2024年卒の動きを振り返ると、ある特徴が見えてきます。
それは「病院勤務が目立つ」という傾向です。

今回は、関東における新卒歯科衛生士の就職先傾向と、その背景、そして診療所の院長先生が取るべき採用戦略について解説します。


本記事のデータについて

本記事で紹介する就職先ランキングは、関東の複数の歯科衛生士学校(例:新東京歯科衛生士学校、首都医校、東京歯科衛生専門学校など)が公開している2024年卒の就職実績一覧、厚生労働省や業界団体の就業統計、求人会社(クオキャリア、グッピー等)の新卒動向記事を参考にした推定値です。
公式に全国や関東で順位づけされたものではありません。
学校や地域によって順位や比率は異なるため、あくまで「関東エリア全体の傾向」としてご覧ください。


関東の新卒歯科衛生士 就職先トップ3(2024年卒 推定)

1. 大学病院・総合病院(病院勤務)

関東の歯科衛生士学校の就職実績を見ると、昭和大学歯科病院、日本大学歯学部附属病院など、大学病院や大規模総合病院への内定が目立ちます。
教育体制の充実福利厚生の安定感、そして学校と病院とのネットワークの強さが、学生にとって大きな魅力になっています。


2. 歯科医院・クリニック(診療所)

全国統計では診療所勤務が約9割を占めますが、これは全世代を含めた数字です。
新卒に限ると、関東では病院勤務に次ぐ位置にあります。
地域に根ざした診療や少人数での温かい職場環境は、診療所ならではの魅力です。


3. 保健所・保健センター/介護・福祉施設

規模は大きくありませんが、公的機関や高齢者施設への就職も一定数あります。
地域歯科保健業務や高齢者の口腔ケアなど、行政的・福祉的な役割を希望する学生に選ばれています。


病院勤務が増えている背景

  • 研修制度が整っている:新卒でも安心して臨床スキルを磨ける
  • 安定した給与・福利厚生:賞与・昇給・休暇制度が整備
  • 学校とのつながり:実習やOB・OGを通じた内定ルートが確立

特に関東では、病院勤務を「キャリアの第一歩」として選び、その後数年で診療所へ転職するケースがよく見られます。


診療所が採用で選ばれる3つのポイント

1. 教育体制の見える化

「入職後にどのように成長できるか」を具体的に提示しましょう。
研修カリキュラムや指導担当者の存在を求人票や説明会で明示すると、安心感が増します。

2. 働きやすさの工夫

病院ほどの制度はなくても、

  • 有給休暇の取りやすさ
  • 残業の少なさ
  • 連休取得の可否
    といった生活の質に直結する条件は、大きな魅力になります。

3. 学生との接点を早期に持つ

学校訪問や合同説明会の参加だけでなく、実習生の受け入れは効果的です。
早い段階で顔を覚えてもらうことで、内定につながる確率が高まります。


まとめ

関東の新卒歯科衛生士採用市場では、病院勤務が目立つ動きがあり、診療所はその後に続く形です。
しかし、診療所には病院にはない魅力があります。
教育体制の明示、働きやすさの工夫、早期の学生接点を意識することで、採用競争において優位に立つことができます。