新卒歯科衛生士求人票で目につく「引っ越し手当」と「住宅手当」
新卒歯科衛生士の採用条件として「引っ越し手当」と「住宅手当」を福利厚生に取り入れる歯科医院があります。
特に、主要都市から離れた大型法人や郊外型の医院での導入が目立つように感じます。また、引っ越し手当と住宅手当と組み合わせるケースもあります。
遠方から人材を採用すると、応募者の幅が広がるという大きなメリットがあります。
しかし、その制度の作り方や運用ルールが曖昧だと、思わぬ経営負担やスタッフ間の不満につながることもあります。
引っ越し手当の目的と導入効果
- 遠方からの人材確保(例:都内から地方、地方から都内など)
- 採用の間口を広げるための福利厚生アピール
- 引っ越しにかかる経済的負担を軽減することで、入職決定の後押しになる
支給額や条件は医院によって異なり、全額負担から一部補助までさまざまです。
注意しておきたい3つのポイント
- 給与全体のバランス
引っ越し手当を支給する代わりに昇給幅を抑えたり、基本給を低めに設定している医院もあります。
結果的に既存スタッフとの年収格差や不満につながる可能性があります。 - 短期離職のリスク
引っ越し手当を目当てに入職し、すぐに退職するケースが実際にあります。
この対策として、半年~1年勤務後に支給する条件を設ける医院も増えています。 - 条件の不透明さによるトラブル
入職後になって支給条件(例:半年勤務後)が判明し、採用時の認識の違いがトラブルに発展することもあります。
住宅手当との組み合わせ運用
引っ越し手当とは別に住宅手当を支給する医院もあります。
ただし、条件をつけるケースがほとんどです。
例:
- 全額住宅手当を支給する代わりに交通費は支給しない → 医院近くに住むことが前提
- 家賃補助額に上限を設定
- 単身者や新卒者限定 など
このように条件を設定することで、支出のコントロールや勤務環境の安定を両立できます。
院長として押さえるべき運用のコツ
- 面接時に必ず条件を明確化
支給時期・金額・条件を口頭と書面で伝える - 求人票にも明記
応募者が事前に理解できるよう記載しておく - 既存スタッフへの説明
新制度導入時には既存スタッフにも説明し、不公平感を防ぐ - 早期離職防止の仕組み
勤務年数条件や返金規定を明確にしておく
まとめ
引っ越し手当や住宅手当は、新卒歯科衛生士の採用を有利に進めるための有効な手段です。
しかし、条件設定や運用方法を誤ると、早期離職やスタッフ間の不公平感といった課題が発生します。
「採用時の魅力」だけでなく「定着までの運用設計」を意識し、制度を活かすことが重要な判断ポイントだと思います。