―結婚・扶養をきっかけに働き方を変えるときの注意点―
小規模な歯科医院では、ちょっとした出来事が職場の空気を大きく変えることがあります。
スタッフ3名という少人数体制の医院で、「2対1」のいや〜な空気が流れてしまったという相談を受けました。
■ きっかけは「結婚による勤務体制の変更」
歯科衛生士1名、歯科助手兼受付2名の3人体制。
以前は仲良く仕事をしていたのに、歯科助手の一人が結婚を機に「扶養内で働きたい」と申し出たことで雰囲気が一変しました。
勤務を減らすことで他の2人の負担が増え、
- 「なんで結婚したからって勤務を変えるの?」
- 「私たち休めないんだけど」
- 「先生、人を増やしてくれないんですか?」
といった不満が噴き出し、気づけば2対1の派閥状態に。
先生も「人を増やすのは難しいけれど、このままでは現場が回らない」と頭を抱えています。
■ 問題の本質は「気持ち」ではなく「制度と説明」
このようなトラブルは、「誰が悪い」という問題ではありません。
背景には、感情的な不公平感と制度的な曖昧さが潜んでいます。
結婚や家庭の事情で働き方を変えることは自然なこと。
しかし、小規模な職場では「一人が減る=他の誰かが埋める」構造になるため、
勤務体制を変える前に全体のバランスをどう取るかを整理することが欠かせません。
■ 対応のポイント3つ
① 希望を「数字」で整理する
「扶養内にしたい」という相談を受けたら、まずは
- 収入上限はいくらまでか
- 週・月の勤務時間をどれくらいにしたいか
を明確にします。
曖昧なまま勤務を減らすと、他のスタッフにしわ寄せが生じ、不満の原因になります。
② 「チームとして」説明する
不満が生まれるのは、「一人だけ優遇されている」と感じるとき。
先生から「これは個人の希望ではなく、医院全体の勤務体制を見直すタイミング」だと伝えることで、
感情の矛先を“人”ではなく“体制”に向けることができます。
透明性のある説明が、チームの信頼関係を保ちます。
③ 部分的な外部サポートも検討
「人を増やすのは難しい」と諦めず、
- 週1〜2日だけ入るパート衛生士、もしくは歯科助手
- 清掃や片付けを手伝う外部スタッフ
など、一部業務を外に切り出す工夫で、既存メンバーの負担を減らすことができます。
■ まとめ
小規模歯科医院では、ひとりの働き方の変化がチーム全体に影響します。
「制度の整合性」と「感情面の納得感」、この2つを丁寧に整えることで、
スタッフが安心して長く働ける環境をつくることができます。
「誰かの働き方が変わるときこそ、チームの在り方を見直すチャンス」
そう捉えて、前向きな話し合いの場を設けてみてはいかがでしょうか。