Z世代採用の“壁”はどこにある?
近年、採用において「Z世代」という言葉をよく耳にするようになりました。Z世代とは、1996年頃から2012年頃に生まれた世代で、2025年時点で13歳〜29歳の若者たちを指します。デジタルネイティブ世代であり、SNSを駆使し、情報に敏感で、働く価値観も多様な彼ら・彼女たち。そんなZ世代の採用には、従来とは異なるアプローチが求められています。今回は、実際に起こった事例をもとに、Z世代採用で見落としがちな“親世代”の存在、そしてSNSの影響について掘り下げていきます。
親世代は“就職氷河期”を経験している
Z世代の多くは、親世代が「就職氷河期」を経験しています。そのため、わが子の就職先には特に慎重。Z世代の中には「求人票の文字が多すぎて読まない」という子も多いですが、代わりに親がしっかり読み込み、条件を確認するケースが増えています。
✅ 親が気にするポイント
- 正社員かどうか
- 給与・賞与の有無
- 休日・有給休暇の取得状況
- 福利厚生・社会保険の有無
親が「ここなら大丈夫」と安心し、それがZ世代本人の「ここに決める」の決め手になることも少なくありません。
しかし…「話が違う!」というケースも
ある実例では、求人票には「正社員募集」と記載があるにも関わらず、実際に提示された労働条件通知書では“助成金のための6ヵ月契約社員”になっていたケースがありました。
困惑した新人スタッフは親に相談し、通報。結果として求人情報の掲載が停止される事態に。Z世代本人だけでなく、その親世代の信頼まで損なってしまった例です。
Z世代はSNSで情報収集している
Z世代は、情報の入口がすでに大きく変化しています。
- テレビは見ない
- メールは見落とす
- 知らない番号の電話には出ない
- プリンタもパソコンも持っていない
では、どこから情報を得ているのでしょうか?
Z世代がよく使うSNSと使い方
- Instagram:ビジュアル重視。院内の雰囲気やスタッフの様子をチェック
- X(旧Twitter):ニュースや話題のトピックを確認
- TikTok:気軽に閲覧。コメント欄でリアルな反応を見る
- LINE:連絡ツールとして日常的に使用
- Facebook:親世代のイメージであまり活用しない
つまり、Z世代は採用情報を「SNS」で探し、雰囲気を「動画や写真」で確認し、「レビュー(口コミ)」で判断するのです。
採用に影響する“口コミ”と“レビュー”
飲食店を選ぶとき、Z世代はGoogleの口コミやぐるなびなどのレビューを必ずチェックします。同じように、歯科医院の就職先としての評価も口コミで判断しています。
Z世代に敬遠される要因のひとつ
Google口コミが「3.0以下」の医院は、Z世代の応募率が極端に低い傾向にあります。
この世代は、現実とネットの世界を分けていません。リアルの職場環境が、SNSやレビューを通じて“評価”されているのです。
Z世代採用の鍵は「親」と「SNS」!
Z世代の採用を成功させるためには、
- 労働条件を誠実に提示すること
- 親にも安心してもらえる情報を提供すること
- SNSで“見える化”された安心感を発信すること
が重要です。
院内の雰囲気や働くスタッフの表情、日々の取り組みをSNSで発信することで、Z世代にもその親世代にも“信頼”を伝えることができます。
今後の採用活動は「リアル×SNS×信頼」がカギになります。