変わりゆく「検索」の形
これまで、多くの歯科医院がWeb集客の手段として「Google検索」を活用してきました。リスティング広告やSEO対策、さらにはGoogleマップ上での表示順位を上げるMEO(Map Engine Optimization)などが、その中心的な施策だったと思います。
しかし今、その「検索」の形が大きく変わろうとしています。
AIが検索結果を生成し、ユーザーはキーワードではなく自然な会話形式でAIに尋ねる時代。つまり、「検索窓で探してもらう」というこれまでの集客導線が、大きく揺らいでいるのです。
リスティング広告が見られなくなる? その理由とは
従来、Google検索ではページ上部に「広告(リスティング広告)」が表示され、医院名を知らない患者さんに対しても訴求することが可能でした。
ところが現在、GoogleはAIによる検索結果の生成(生成AI検索)を本格的に導入し始めています。検索窓にキーワードを入力すると、ページの一番上には、AIが自動生成した回答(Google SGE:Search Generative Experience)が表示され、その下にようやく広告が並ぶ形式に変化しています。
つまり、患者さんの目に最初に入るのは広告ではなく「AIの回答」になったのです。
これにより、クリック率の高かった広告枠の価値が相対的に低下し、広告費をかけても効果が出にくいケースが増えつつあります。
SEO・MEOの効果も薄れつつある?
ホームページ制作時に「地域名+歯科」「駅名+歯医者」などのキーワードを意識して、SEO対策をされてきた先生も多いでしょう。
また最近では、Googleマップ上の表示順位(MEO)を上げるための施策も盛んに行われてきました。
確かに現在のGoogleのアルゴリズムでは、「検索している場所(ユーザーの現在地)」を重視する傾向が強くなっており、単純なキーワード対策やMEOだけでは上位に表示されにくくなってきています。
加えて、AIが検索結果を生成するようになれば、ユーザーがマップの一覧やHPリンクを自ら見比べる機会も減少していくことが予想されます。
それでもSEO・MEOは今後も重要な要素
とはいえ、SEOやMEOが「意味を失った」というわけではありません。むしろ、これらはAIに正しく医院の情報を届けるための基礎インフラとして、今後も欠かせない施策です。
- SEOで構造化された、わかりやすく専門性の高いコンテンツを作ることで、AIにも正確に読み取られやすくなります。
- MEOでは、口コミへの返信や写真の更新、診療時間などの情報の正確性の維持がAIの判断材料となるため、継続的なメンテナンスが重要です。
- NAP(医院名・住所・電話番号)の一貫性もSEO/MEO両方に影響し、情報の信頼性を高めます。
つまり、AI検索が進化した今だからこそ、SEOやMEOの本質的な取り組みがより評価される時代に入っているとも言えるのです。
AI時代の患者行動:自然言語での「質問検索」が主流に
今、ユーザー(患者)はキーワードをいちいち打ち込むのではなく、「○○駅から通いやすい、子どもに優しい歯医者さんを教えて」といった自然な会話のような形で、AIに質問します。
このような質問に対し、AIはGoogleマップやレビュー情報、各医院のホームページなどから総合的に判断して、最適な医院を提案してくれます。
ここで重要なのは、「AIが参照する情報が何か?」という点です。
AIは、各医院のホームページの内容や、Googleマップの情報(口コミ・写真など)、SNSでの評価や投稿内容などを総合的に判断して、回答を生成しています。
だからこそ、ホームページの情報発信はより重要に
これからの時代はAIに「選ばれる」ための情報整備がより重要になってきます。
AIは、どの医院が信頼できるのか、どんな治療を行っているのか、どんな患者層に合っているのかを判断するために、公開されている情報の質と量を重視しています。
具体的には、以下のような情報が求められます
- 医院の理念や特徴
- 診療メニューの詳細と、どんな症状に対応できるか
- 院長・スタッフのプロフィールや資格
- 院内設備や感染対策に関する説明
- 治療の流れや予約方法の明確な案内
- 実際の患者さんの声や口コミ(公式サイトにも)
これらの情報がしっかり整理され、見やすく掲載されていることが、AIに正確に読み取ってもらうための条件となります。
おわりに:選ばれる医院になるために、情報発信を止めない
AI時代の歯科医院集客は、これまでのような「検索キーワードで上位表示を狙う」戦いから、「AIに好まれる・信頼される情報を発信し続ける」方向へと変化しています。
これからは、
- 単なるSEO対策ではなく「患者にとって有益な情報」を発信すること、
- 更新頻度や情報の鮮度を保つこと、
- 患者目線でのWebコンテンツ作り
がますます重要になります。
AIによる新しい検索時代でも、しっかりと準備をしている医院だけが選ばれる存在になるでしょう。
✨今後の取り組みのヒント
- ホームページの情報を「AIに伝わる構成」で見直す
- 医院の強み・特徴を明文化し、定期的に発信
- SNSやブログを活用して、情報の厚みを増やす
- Googleマップ情報(写真・口コミ)も定期チェック
「そんなこと言われてもわからないよ…」という先生、お気軽にご相談ください。先生のお力になれるよう対応いたします。