歯科医院の採用環境は、ここ数年で大きく変化しました。特に院長1人、スタッフ3〜4人ほどで運営される小規模歯科医院では、「求人を出しても応募が来ない」「採用しても定着しない」といった声を多く耳にします。

人材不足が常態化する中で、給与・働き方・教育体制など、これまで後回しにされがちだった部分が、医院経営そのものに直結するテーマになっています。

採用が難しい時代に起きている“静かな変化”

求人会社や求人媒体は年々増え、情報自体はあふれています。しかし、求職者側はその分、医院をよりシビアに見比べる時代になりました。

・給与は地域相場と比べてどうか
・昇給の仕組みはあるのか
・長く働いた場合のイメージができるか
・業務量と報酬のバランスは取れているか

こうした点は、面接の場では聞きづらくても、応募前からしっかり見られています。

【現場のリアル】面接同席で聞いた、前職退職理由

実際に、当社が顧問として関わっている歯科医院で、面接に同席した際に聞いた求職者の話があります。

その方は前職を退職した理由として、次のように話されていました。

「6年勤務してきましたが、入職時と給与がほとんど変わりませんでした」
「長く勤める中で任される業務は増えたのに、それが給与に反映されないことに不満を感じていました」

さらに、

「自分だけが長く残り、後から入ってくるスタッフも給与への不満から早期に辞めていく状況でした」

とも話されていました。

もちろん、これはあくまで本人の感じ方や認識による話であり、医院側の事情や背景までは分かりません。しかし、ここで注目したいのは、「事実かどうか」よりも、そう感じさせてしまったこと自体が、離職につながっているという点です。

給与は“お金の問題”だけではない

給与は単なる金額の問題ではなく、

・評価されていると感じられるか
・成長や責任が報われていると感じられるか
・将来の見通しが持てるか

といった、スタッフのモチベーションや安心感に直結する要素です。

小規模歯科医院では、「全員の顔が見える関係性」が強みである一方、評価や昇給の仕組みが曖昧になりやすい傾向もあります。その結果、

「頑張っても変わらない」

という印象を持たれてしまうと、どれだけ人間関係が良くても、離職の引き金になりかねません。

小規模歯科医院だからこそできる工夫

大規模法人のような明確な人事制度をすぐに整えるのは難しくても、

・昇給のタイミングや考え方を言語化する
・業務範囲が広がった際の評価を話し合う
・金額だけでなく役割や期待を明確に伝える

といったことは、小規模だからこそ柔軟に対応できます。

重要なのは、「制度を完璧に作ること」よりも、院長の考えや方針がスタッフに伝わっているかどうかです。

採用は“入口”ではなく“その後の働き方まで含めて考えるもの”

採用活動は、単に人を入れるためのものではありません。

・どんなスタッフに、どんな役割で、どのくらい長く働いてほしいのか
・そのために、医院として何を用意できるのか

こうした設計がないまま採用を進めると、ミスマッチや早期離職を繰り返してしまいます。

ディープラスエス株式会社では、求人や面接のサポートだけでなく、実際の現場やスタッフの声を踏まえた運営面の整理も含めて、小規模歯科医院に寄り添った支援を行っています。

採用に悩んでいる今こそ、給与や評価のあり方を「経費」ではなく、医院の未来への投資として見直すタイミングなのかもしれません。