歯科医院の口コミ操作、消費者庁が初の「ステマ認定」

Googleマップなどの口コミに「★5」が並ぶ歯科医院。
しかし、その裏に“やらせ投稿”が隠れているケースがあるのをご存じでしょうか。

2025年4月、消費者庁は都内のある歯科医院に対し、「口コミ操作=ステルスマーケティング(ステマ)」に該当するとして措置命令を出しました。
同院では、来院した患者に「★5の口コミを投稿すると5000円の割引またはQUOカード進呈」と依頼していたといいます。

口コミ欄にはこうした投稿が並びました。

★5「料金も他院と比較して割安だと思います」
★5「事前の相談が丁寧だったのが好印象です」

一見すると高評価が多い人気医院のようですが、実際にはこんなコメントも見られました。

★1「星5つの投稿で5000円割引と言われた。絶対やめたほうがいい」
★1「感想なしの星5が多いのは、これが原因か」

消費者庁はこの行為を「不当表示(景品表示法違反)」と判断し、再発防止を命じています。


知らずに“ステマに加担”しているかもしれない

今回のケースで特に問題視されたのは、患者自身が無自覚のうちにステマ投稿に関わっていた点です。
消費者庁の担当者は次のように警告しています。

「一般消費者に依頼が行われ、実際に一般消費者がステマ投稿を行った」

「口コミを投稿すれば割引になる」という軽い気持ちで応じた結果、
患者も知らないうちに違法な広告行為の一端を担ってしまっていたのです。


ステルスマーケティングとは?

ステルスマーケティング(ステマ)とは、広告であることを隠して宣伝行為を行うことです。
主に以下の2つのタイプがあります。

  1. なりすまし型
     医院関係者が第三者を装って高評価を投稿する行為。
     (例:スタッフや家族が匿名で★5投稿)
  2. 利益提供秘匿型
     報酬や割引などを条件に口コミを依頼しながら、その事実を明示しない行為。
     (例:「口コミ投稿で5000円割引」など)

これらはいずれも景品表示法に違反する不当表示として、罰則の対象になる可能性があります。

(参考: 消費者庁「ステルスマーケティングに関する表示・取引の適正化


歯科医院が陥りやすい“グレーゾーン”

口コミは新患獲得に大きな影響を与えます。
そのため、「口コミを増やしたい」「患者さんに書いてほしい」と考える医院も多いでしょう。

しかし注意すべきは、「お願い」と「誘導」の線引きです。
以下のような行為は違法またはグレーゾーンとされます。

  • ★割引や景品を条件に口コミを依頼する(明確に違法)
  • ★スタッフや家族が自院の口コミを投稿する(自作自演と判断される場合あり)
  • ★「悪い評価はやめて」「星5で投稿して」と依頼する(誘導的表現として不当)

安全で誠実な口コミ促進のポイント

正しい口コミ促進には、「透明性」と「誠実さ」が欠かせません。
以下のような方法であれば、自然な形で口コミを増やすことができます。

  • 来院後のアンケートを通じて満足度を把握し、その一部を口コミ投稿に促す
  • 「ご意見をGoogleマップにも投稿いただけると励みになります」と丁寧に伝える
  • 投稿者への金銭的報酬・割引は一切行わない
  • 口コミに対して誠実に返信し、医院の姿勢を示す

こうした積み重ねこそが、長期的な信頼形成につながります。


信頼される医院づくりの本質とは

やらせ投稿は一時的に高評価を得られるように見えても、発覚すれば信用という最大の資産を失う結果になります。
口コミの本質は「生の声」であり、誠実な対応の積み重ねです。

ディー・プラス・エス株式会社では、
医療広告ガイドラインを遵守したうえで、歯科医院の信頼を高める正しい情報発信・WEB運用をサポートしています。
“誠実なPRが、最も強いブランディング”であるという理念のもと、医院の長期的な発展を支援しています。


【まとめ】

  • 歯科医院の口コミ操作は景品表示法違反に該当
  • 「口コミ投稿で割引」などの誘導行為は違法
  • 患者も無自覚にステマに加担しているケースがある
  • 正しい口コミ促進には「透明性」と「誠実さ」が不可欠