スタッフの賃金設定で見落としがちな落とし穴
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づいて国が定める「賃金の最低ライン」を守る制度です。歯科医院においても当然適用され、パート・アルバイト・常勤スタッフを問わず、すべての労働者に適用されます。
仮に、スタッフ本人と合意して時給を決めたとしても、その金額が地域別最低賃金を下回っていれば 法律上は無効 となり、最低賃金と同額を支払ったものとみなされます。差額を後から請求されるリスクもあり、さらに悪質な場合には 50万円以下の罰金 が科される可能性もあります。
2025年度の地域別最低賃金(例)
令和7年度(2025年度)の地域別最低賃金は、多くの地域で大幅に引き上げられました。例えば、
- 東京:1,226円(前年1,163円)
- 神奈川:1,225円(前年1,162円)
- 大阪:1,177円(前年1,114円)
- 千葉:1,140円(前年1,076円)
- 青森:1,029円(前年953円)
(※詳しくは厚生労働省発表の地域別最低賃金一覧をご確認ください)
歯科医院で注意すべきポイント
- 昇給・更新時のチェック
求人を出すときや既存スタッフの契約更新時に、必ず地域の最低賃金を確認してください。 - 時間外労働・手当を含めて確認
残業代や割増賃金を正しく計算しても、基本給部分が最低賃金を下回っていれば違法になります。 - 地域差の把握
東京や神奈川など都市部と地方では、時給が200円近く違うこともあります。分院展開している場合には、それぞれの地域の基準を確認する必要があります。
まとめ
人材確保が難しい歯科業界において、最低賃金の見落としは大きなトラブルの火種になります。賃金は単なるコストではなく、医院の信頼やスタッフの定着率に直結する重要な要素です。
ぜひ、定期的に「地域別最低賃金」を確認し、スタッフが安心して働ける環境を整えていきましょう。
出典(公式)
- 厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html - 厚生労働省「令和7年度地域別最低賃金額改定の目安について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_60788.html - 厚生労働省「特定最低賃金の全国一覧」
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-19.htm