歯科医院で増えている「クリーンスタッフ」導入の3つのメリットと課題
歯科医院の求人で「クリーンスタッフ」という職種を目にする機会が増えているように感じます。
従来は歯科衛生士や歯科助手が、診療業務だけでなく清掃や滅菌・消毒まで兼任するのが一般的でした。
しかし近年は業務の分業化が進み、専任のクリーンスタッフを採用する医院が増えてきています。
クリーンスタッフがもたらすメリット
1. 診療業務に専念できる環境づくり
クリーンスタッフが滅菌・消毒や清掃を担当することで、歯科衛生士や助手は診療に集中できます。
結果として、診療効率の向上や患者満足度アップにつながります。
2. 残業削減で働きやすさを実現
ある医院では、専任クリーンスタッフが片付けを行うため、衛生士や助手は18:00に退勤可能。
受付スタッフも18:15には退勤できています。
「定時退勤が可能」という点は、スタッフの定着率を高める大きな要素です。
3. 採用力の強化
「クリーンスタッフがいる」と求人票に記載することで、応募数が増える傾向があります。
応募者の歯科衛生士からも、
- 「滅菌や清掃を任せられるのは魅力的」
- 「定時で帰れるなら働きやすい」
といった声が実際に寄せられています。
小規模歯科医院における考え方
一方で、小規模の歯科医院ではクリーンスタッフを必要としない場合もあります。
- 「今いるスタッフで十分に対応できる」
- 「スタッフ数が少ない分、業務分担もシンプルで済む」
と考える先生も少なくありません。
このような医院では、クリーンスタッフを採用するよりも、既存スタッフで協力して片付けや清掃を行う方が効率的という判断も十分に成り立ちます。
導入時に注意すべきこと
クリーンスタッフを導入する場合、役割や立ち位置を明確にすることが欠かせません。
実際に、業務範囲があいまいなまま採用された結果、
- 「自分は掃除しか任されていない」
- 「どこまでやるべきかわからない」
- 「やらなくてもいいことまで、先生にやるように言われた」
- 「当初言われていた業務以外の仕事を覚えるように言われた」
と不満が募り、退職につながったケースもありました。
導入を成功させるには、
- 担当業務の範囲を明確にする
- 他のスタッフとの連携を説明する
- 他のスタッフにクリーンスタッフの業務範囲についてをシェアする
- 相談できる体制を整える
といった準備が必要です。
まとめ
クリーンスタッフは、
- 診療効率の向上
- 残業削減
- 求人応募の増加
といったメリットをもたらしますが、すべての歯科医院にあてはまるものではありません。
小規模歯科医院では、既存スタッフで十分対応できる場合もあり、医院の規模や体制によって判断が分かれます。
クリーンスタッフ導入は「医院の規模や体制」によって、取り入れるかどうかを考えてみても良いかもしれません。また、歯科衛生士や歯科助手の採用が思うように進まない場合には、クリーンスタッフを採用して人材を補填するという方法もあります。
清掃・滅菌・消毒といった業務を任せることで、限られた人数でも医院全体の負担を軽減できる可能性があります。
つまり、クリーンスタッフ導入は「医院の規模・人員体制・採用状況」に合わせて柔軟に検討できる選択肢のひとつと言えると思います。