採用活動において「履歴書」は、応募者を知るための最初の資料です。
しかし、実際に届く履歴書には基本的な部分が抜けていたり、応募者の姿勢が見えてしまうケースも少なくありません。

ここでは、歯科医院が採用の際に履歴書で確認しておきたいポイントを整理しました。

1. 記入漏れがないか

履歴書は「すべての項目が埋まっているか」を基本に見てください。
特に 日付の記入漏れ は頻繁に見受けられます。「日付くらい」と思うかもしれませんが、実際には細かいところまで配慮できるかどうかを測るサインです。

また、名前や住所の「ふりがな」が抜けているケースも意外と多いもの。記入漏れが多い履歴書は、日常業務でも注意不足が出る可能性があると判断できます。

2. 写真から伝わる印象

写真は応募者の第一印象を左右します。
医院に届く履歴書の中には、

  • 普段着やカジュアルな場で撮影した写真
  • スマホで下から撮ったような写真
  • 友人とのスナップ写真のようなもの

といった不適切な写真を貼ってくる応募者もいます。
「証明写真を用意する」という基本的な準備をしていない時点で、社会人としての姿勢に疑問を持たざるを得ません。

3. 志望動機の有無

志望動機が空欄の履歴書も少なくありません。
形式的な文章であっても「なぜ応募したのか」が書かれているかどうかで、やる気の度合いを測ることができます。逆に空欄の場合は、医院への関心の薄さが透けて見えてしまいます。

事例紹介 ― 履歴書の“姿勢の甘さ”が行動に出たケース

実際にあったケースですが、誤字脱字が多い履歴書を提出してきた応募者がいました。
そのときは、院長先生も「多少のミスはあるだろう」と特に重要視せず、面接へ進めることにしました。

ところが、結果は大きな失敗に。

  • 面接時間の直前になって「別日に変更してほしい」との連絡
  • 院長が診療を調整し、改めて面接の時間を確保
  • しかし、変更した面接当日は連絡もなくドタキャン

最終的に応募者とは連絡が取れず、面接自体がなくなってしまいました。
診療の合間を削って面接に臨んだ院長先生にとっては、大きな時間的ロスとなったのです。

この経験から分かるのは、履歴書に現れる“仕事に対する姿勢の甘さ”は、そのまま行動にも表れる ということです。
誤字脱字や記入漏れを軽視せず、最初の段階で応募者の態度をしっかり見極めることが、医院の時間と労力を守ることにつながります。

4. 履歴書なしでの面接希望

最近は「スピード面接」を勧める求人会社もあり、応募者が履歴書を送らずにいきなり面接を希望するケースも増えています。

しかし、医院側からすれば、診療時間を削って面接の時間を確保するのに、応募者の情報がほとんどない状態では非効率 です。
「限られた時間で少しでも良い人材に出会いたい」という院長先生のお考えを踏まえれば、履歴書の提出を必須とする方が賢明です。


まとめ

履歴書は単なる書類ではなく、応募者の基本的な姿勢や仕事に向き合う態度を測る大切な資料です。

  • 記入漏れの有無
  • 写真の適切さ
  • 志望動機の内容
  • 提出の有無そのもの
  • そして、履歴書に表れる「仕事に対する姿勢の甘さ」

これらを確認することで、面接前に応募者の社会人基礎力を見極めることができます。
採用活動の効率を高めるためにも、ぜひ履歴書をしっかりチェックする仕組みを取り入れていただければと思います。