最近、顧問先の歯科医院に、フリーランス歯科衛生士からの営業の手紙が続けて届くようになりました。いずれも別の方からで、内容は共通して以下のような構成です。

  • 直筆のあいさつ文(便箋2枚程度)
  • 笑顔の顔写真付きプロフィール(取得資格や経歴、参加セミナーの記載あり)
  • 提供できる仕事内容の詳細(例:予防処置、アシスト業務、求人サイトの代行対応など)

ただし、時給や料金の記載はなく、「ご興味があればご連絡ください」といった内容で締めくくられています。住所が記載されていないケースもあり、情報の開示レベルは人によって異なります。

採用が難しい今の時代、こうしたお手紙を歓迎する先生も一部にはいらっしゃいます。ただし、実際に依頼する場合には注意しておきたいポイントがあります。


フリーランス歯科衛生士を依頼する際の注意点

欠勤時の対応は誰がするのか?

  • 欠勤時に代わりの歯科衛生士を本人が手配する契約になっているか
  • それとも、医院側で急きょ対応しなければならないのか
  • 欠勤連絡のタイミングやルールがどうなっているか

このような条件は、契約前に明確に確認しておく必要があります。


報酬の相場は?

フリーランスの歯科衛生士は、医院に直接雇用されているスタッフとは異なり、業務委託契約で働くケースが一般的です。そのため、時給・日給ともに相場はやや高めです。

  • 時給:2,500円〜4,500円程度
  • 日給:20,000円〜35,000円前後(半日〜終日勤務)
  • 交通費・出張費別途請求のケースも多い

地域やスキル、資格内容により変動はありますが、正社員やパートスタッフよりも高単価であることは確かです。その分、「急な欠勤」「契約外業務の対応」などに柔軟性がない場合もあるため、事前の取り決めがより重要になります。


書類での取り決めは必須です

業務委託契約を結ぶ際は、以下のような項目を必ず書面で交わすようにしましょう

  • 業務内容・時間帯
  • 欠勤時の対応ルール
  • キャンセル料の有無
  • 損害賠償に関する規定
  • 個人情報保護や守秘義務に関する誓約

医院ごとに診療方針や扱う患者情報も異なるため、「口約束」ではなく、文書での取り決めが必要です。


院内の人間関係にも配慮を

外部のスタッフが一時的に加わることで、既存のスタッフとの関係性に影響が出る可能性もあります。特に小規模な医院ではチームワークが重要になるため、慎重な判断が求められます。


「自由な働き方」が広がる時代に

ここ1〜2年で、フリーランス歯科衛生士という働き方は着実に増えてきています。働く側にとって自由度が高い一方で、医院側は柔軟さと慎重さの両立が求められるようになっています。

導入を検討する場合は、「感じが良い」「経歴が立派」といった印象だけで判断せず、業務の範囲や責任分担をきちんと契約書に明記することが重要です。