歯科衛生士の求人で見えてきた、今どき応募者の本音と医院の“見極め”基準

歯科衛生士の求人を代行していると、日々多くの求職者とやりとりする中で、変化を感じることが増えてきました。応募者の価値観や優先順位、そして“応募のしかた”まで、少しずつですが確実に変わってきています。

今回は、最近多い問い合わせ内容と、それに対する医院の対応、そして私自身が感じている「採用活動における見極めの視点」についてお話ししたいと思います。


一番多い質問は「ネイルはOKですか?」

最近、求職者から最も多くいただく質問は「ネイル」に関するものです。以前にもブログでこのことについて書かせていただきました。

「ネイルをしているのですが、大丈夫でしょうか?」
「どこまでのネイルなら許されますか?」

このような問い合わせがとても増えていると感じます。美容や自己表現を大切にする気持ちは理解できますが、歯科医院は医療現場。衛生面の観点やグローブ破損のリスクを考えると、ネイルには一定の制限が必要です。

本来、歯科衛生士であればこのあたりの感覚は共有されていると考えていましたが、実際には“許容範囲”の認識は人によって異なります。そのため、質問をいただいた際にはあいまいにせず、はっきりとお伝えするようにしています。

院長先生とも事前にすり合わせを行い、以下の3つの基準を設けました。


【ネイルに関する医院のルール】

① 長さについて
「小学校の先生にOKをもらえる程度」の短く整えた状態を推奨しています。

② カラーについて
透明または自然な色味であれば問題ございません。

③ ネイルアートについて
グローブの破損や衛生面への影響を考慮し、長い爪や派手なネイルアートはご遠慮いただいております


このように基準を明示することで、応募者とのミスマッチを未然に防ぐことができますし、医院としても信頼感のある対応が可能になります。


「タイパ」重視?履歴書の提出を嫌がる傾向も

また、最近目立つのが「履歴書を出したくない」「まず面接を」というスタンスの方が増えていることです。中には、まだ書類も何もいただいていない状態で、いきなり「面接希望日」を提示してくる方もいます。

「まずは会って話したい」という姿勢は前向きにも見えますが、医院側からすればどんな人なのかまったくわからないまま面接に臨むことになってしまいます

私がサポートしている院長先生は、履歴書などの事前書類を通じて面接をするかどうかを見極める一つの大切な判断材料と考えています。


「応募数を取るか」「医院に合う人を見極めるか」

応募数を増やすために「事前の書類提出をやめた方がよいか?」というご相談をいただきました。

でも私としては、

「履歴書のひと手間すら面倒に感じる方は、そもそも先生が求めている人材ではないのでは」ということ

採用活動はただの人数集めではありません。医院にとって本当に“合う人”を見つけるための大切なプロセスです。応募のハードルを下げることが結果的に医院の求める人材と出会えない原因になることもあります。


求職者の変化に柔軟さを持ちつつ、“医院らしさ”は守りたい

もちろん、時代や働き方の変化に合わせて柔軟に対応していくことも大切です。
しかし同時に、「医院がどんな人と一緒に働きたいか」という軸はブラさずにいたいものです。

採用活動の中で、応募数ばかりを気にして本来大切にすべき医院の文化や価値観を見失ってしまっては、本末転倒です。

採用代行を通じて日々さまざまな方と接する中で、「やっぱり医院に合う方と出会うには、見極める視点を持ち続けることが何より大切だ」と、改めて感じています。


最後に

採用に正解はありません。ただ、医院にとって必要な人材に出会うには、「医院としての基準」や「伝えるべきルール」をきちんと示すことが信頼にもつながると感じています。

これからも、応募者の背景や価値観を理解しながらも、医院の魅力を伝え、“お互いにとって良い出会い”となるようなサポートを心がけていきたいと思います。

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