求人票と実態にズレがあるとスタッフの不信感に直結します

歯科医院の求人票に「残業ほぼなし」と記載していても、実際には残業が発生しているケースが少なくありません。
特に、スタッフ数が限られている小規模な医院では、誰かの急な欠勤や、急患対応などによって、予定していた退勤時間が押してしまうことがよくあります。
こうしたとき、「一時的なものだから」「仕方ないから」と、無給での残業を求めてしまうと、スタッフの不満や不信感を一気に高めてしまいます。

具体的には、

  • 規定の休憩時間が確保されない
  • 有給休暇の取得が事実上認められない
  • 残業代が支払われない
    といった、労働基準法違反につながるリスクも指摘されています。

さらに、急患対応で日常的に退勤時間が押すにもかかわらず、それを事前に説明していない場合、スタッフは「聞いていた話と違う」と感じやすくなります。
たとえ一度の出来事でも、信頼関係にヒビが入るきっかけになりかねません。


歯科医院側が注意すべきポイント

求人票や採用時の説明では、「理想」ではなく「現場の実態」を正確に伝えることが重要です。
特に以下の点は、必ず明示しておきましょう。

  • 休憩時間は何分なのか、実際に確保できているか
  • 残業が発生する頻度と理由(急患対応など)
  • 残業が発生した場合の取り扱い(時間外手当の支払い方法や、固定残業代制の有無)

また、「残業は基本的にほぼないが、急患対応などでまれに30分程度押すことがある」など、多少マイナスに感じる情報も正直に伝えることが大切です。

入職後に「聞いていた話と違う」というズレが発覚すると、スタッフのモチベーションは下がり、早期離職や、口コミで悪評が広がる原因にもなります。
反対に、採用前にリアルな情報を共有し、納得のうえで入職してもらえれば、入職後の定着率は確実に高まります。


求人票は「宣伝」ではなく「約束」です。
実態に忠実な情報発信が、スタッフとの信頼関係を築き、結果的に医院の安定経営にもつながります。