小規模歯科医院の現場で起きる“イレギュラー”にどう備える?

「私、受付で入職したのに、突然サクション(バキューム)持たされて唾液を吸いました…無理なんですけど…」

そんな戸惑いの声を、ある歯科医院で入職して半年の受付スタッフから聞きました。

事情を聞いてみると、その日はアシスタントスタッフが急遽欠勤し、非常勤の先生が一人で診療を行っている中で、誰かに補助に入ってもらう必要があったとのこと。受付スタッフが近くにいたため、状況的にそのままサポートに入ってもらったようです。

先生にとっては「治療をスムーズに行うための一時的なサポート要請」に過ぎませんが、受付スタッフにとっては「予想していなかった診療補助」であり、大きな不安と動揺を感じたのだと思います。

このようなケースは、小規模歯科医院では決して珍しいことではありません。

人数が限られているからこそ、時には「受付が診療補助に入る」という柔軟さが求められる場面も出てきます。しかし、これはあくまで“備え”があってこその対応です。

重要なのは以下のポイントです

  • 入職時に、業務内容の可能性として“簡単な診療補助が発生すること”を伝えておくこと
  • 万が一に備え、受付スタッフにも最低限の補助知識(バキュームの持ち方や立ち位置など)を共有しておくこと
  • 「できないことは無理せず言ってOK」という安心できる雰囲気をつくっておくこと

入職後しばらく経ってから「そういうこともあるよ」と後出しのように伝えると、不信感やモチベーション低下に繋がりやすくなります。ですから、最初の面談やオリエンテーションのタイミングで、あらかじめ丁寧に説明することがとても大切です。

もちろん、明確な役割分担と研修体制があることが前提です。受付スタッフが突然治療に関わるのではなく、あくまで「イレギュラー時の最低限のサポート」として想定しておきましょう。

小規模だからこそ必要な、チーム全体の柔軟性と信頼関係。スタッフの不安を取り除くには、日ごろからの声かけと環境づくりがカギとなります。