未経験でも「やってみたい」が原動力
顧問先の歯科医院で「歯科助手・未経験OK」という求人を出していたところ、50代の主婦の方から応募がありました。履歴書に目立った問題はなく、面接でも落ち着いた受け答えと人柄が印象的。パソコンスキルもあるとのことで、院長先生も納得のうえで正社員として採用が決まりました。
実はこの方、医療業界は初めて。歯科助手の経験もゼロ。年齢や業種の違いに不安もあったかと思いますが、入職後の1か月面談では「今は仕事を覚えることに必死です!頑張ります!」と、とても前向きなお言葉をいただきました。
ただ、その“必死”という言葉が、私は少し引っかかりました。裏を返せば「毎日が限界ギリギリなのでは」と感じたからです。そこで、すぐに院長先生と情報共有し、覚える仕事内容を見直すことに。1か月目、2か月目、3か月目……と段階的に業務を習得できるよう、チェックシートの内容を再構築しました。
年齢ギャップの不安を見える化と寄り添いで乗り越える
3か月後の面談では、大きな成長が見られました。カルテの読み方、パソコン入力も問題なくこなせるように。それでも、また別の不安が生まれていたのです。
それは、教育担当が20代のスタッフで、まるで自分の子どものような年齢差があること。そして、他の正社員のほとんどが若いことに対して「相談しにくい」と感じていることでした。また、「若い人のようには覚えられない」という自己評価も聞かれました。
この“比べてしまう気持ち”は、多くの中高年の新人スタッフに共通する悩みです。成長するほどに、今度は環境や人間関係に意識が向き、気になる点が見えてくるのです。
再び院長先生と協議し、チェックシートの内容をさらに見直しました。「この1日で何を目的にするか」を明確にし、スモールステップで成長を感じられる仕組みにすることで、本人の安心感につなげていきました。
その後、彼女の表情には自然な笑顔が戻り、院内の雰囲気もやわらぎました。新人スタッフの教育において大切なのは、年齢や経験よりも「見える化」と「寄り添い」だと、あらためて実感した出来事です。
今も彼女は現場で頑張っています。
「必死」だった日々が「やりがい」や「楽しさ」に変わっていく。
そんな変化の瞬間に立ち会えることは、私たちの何よりの喜びです。
💡歯科医院の人材定着・教育サポートはお任せください
ディー・プラス・エス株式会社では、歯科医院様向けに新人研修やスタッフ教育支援、業務フローの見える化など、現場に寄り添ったサポートを行っています。
採用後の「育成」に悩まれている先生、お気軽にご相談ください。