〜外国籍スタッフが医院の強みになるまでの小さな物語〜
ある顧問先の歯科医院で、心に残る出会いがありました。
その医院には、外国籍のスタッフが歯科助手として勤務しています。彼女は母国で歯科医師として働いていた経験があり、現在は日本の歯科大学で学びながら、日本の歯科医師免許取得を目指しています。
とても真面目で前向きな方で、日本の歯科医療についてもっと知りたい、日本と母国の違いを学びたいという意欲にあふれています。ただ、日本語はまだ勉強中で、「漢字は難しいです。ひらがな、カタカナも難しいです」と笑いながら話してくれました。
それでも、院内スタッフとの関係はとても良好で、勤務において特にトラブルはなく、信頼されている様子が伝わってきます。
ただ一つ、院長先生が気にされていたのは、「外国人スタッフがいる」ということを一部の患者さんがどう受け取るか、という点でした。
最近では、外国籍の方が多くの業種で働いていますが、歯科医院、とくに地域密着型の小規模な医院では、患者さんの中に不安を感じる方がいることも事実です。採用の背景を知らないまま、「人手が足りないから外国人を入れているのでは?」といった誤解を招く可能性も否定できません。
そこで私は、院長先生に「ホームページのスタッフ紹介に、彼女のプロフィールを掲載してみてはどうでしょうか?」とご提案しました。
どんな背景を持ち、どんな思いで働いているのか。どのような仕事を任されていて、何語を話せるのか。そして、安心感を与える笑顔の写真も添えて——。
患者さんが「どんな人なんだろう?」と感じる不安を、きちんと説明することで安心に変える。これは小さなことのようでいて、医院の印象に大きく影響します。
掲載後、患者さんからの印象も良く、何よりご本人も「掲載してもらえて安心しました」と笑顔で話してくれました。
「勤務していて困ることはないですか?」と伺ったところ、「院内に掲示してあるものが読めなかったり、日本語は難しいと感じることはあります。でも、スタッフの皆さんが本当に優しくて、丁寧に教えてくださるので、感謝しています」と話してくれました。
慣れない国で資格取得を目指して頑張る姿に、私自身も力をもらいました。
現場の“気がかり”に寄り添うご提案を
このように、院長先生のちょっとしたご不安や、「これって他の医院でもあるのかな?」という声に耳を傾けながら、私はご提案をしています。
今回のような外国籍スタッフの受け入れに限らず、院内コミュニケーションの工夫や、患者さんへの伝え方、ホームページやSNSでの情報発信など、さまざまな側面でお手伝いができます。
先生が安心して診療に集中できるように、現場の小さな“気がかり”を、ひとつずつ“安心”に変えていく——そんな支援をこれからも続けていきたいと考えています。