歯科衛生士の態度が気になる「本人の資質」だけが原因ではありません
「歯科衛生士の態度について患者さまからクレームがあった」
「態度が悪いスタッフへの指導方法が分からない」
このように悩まれている先生も多いのではないでしょうか。
勤務態度の問題は「本人の性格や資質」に原因があると考えられがちですが、実際には 労働環境や院内の人間関係、マネジメントの仕組み に起因しているケースも少なくありません。
今回は、歯科衛生士の態度が悪いときに起こり得る問題と、その背景にある原因、そして医院経営者として取り組むべき改善策について整理します。
歯科衛生士の態度の悪さが招くデメリット
1. 院内全体の雰囲気が悪化する
不機嫌な態度を隠さないスタッフが一人いるだけで、他のスタッフのモチベーションは低下します。結果として医院全体の雰囲気や協力体制が乱れ、離職につながるリスクもあります。
2. 患者満足度が低下する
歯科衛生士はメインテナンスの場面で患者さまと長く接する存在です。態度や接遇に不快感を抱かれれば、クレームとして表に出ることは少なくても、無言の転院 という形で医院の経営に直結する結果を招きます。
さらに問題なのは、患者さまにとって「歯科医院全体の印象」が一人のスタッフの態度で決まってしまうという点です。
「先生は丁寧でも、衛生士さんの態度が冷たいからもう行きたくない」と感じさせてしまうのは大きな損失です。
近年は口コミやSNSでの情報拡散も早く、一人の患者さまの不満が地域全体の評価に波及するリスク も無視できません。
歯科衛生士、スタッフの態度が悪くなる主な原因
環境要因
- 業務量やシフトが過密で心に余裕がない
- 院長や先輩スタッフの態度が手本にならず、悪影響を与えている
- 給与や待遇に不満がある
個人要因
- 患者さま目線でのコミュニケーションが不足している
- 経験やスキルが未熟で余裕がない
つまり、本人の資質だけでなく 勤務環境・マネジメントの仕組み・医院の方針共有不足 が態度悪化の背景になっていることが多いのです。
院長先生が取るべき対処法
1. 患者さまへのフォローを最優先に
態度の悪さが患者さまに伝わった場合は、すぐにフォローを入れることが大切です。ただし、他のスタッフや患者の前で頭ごなしに叱責すると逆効果。1on1で冷静に振り返りを行う姿勢 が求められます。
2. 医院の理念・方針を共有する
「接遇をどう捉えるか」は人によって異なります。医院としての診療理念や方針を具体的な言葉で伝え、スタッフ全員で共有しておきましょう。院長先生自身が率先してお手本を示すことも欠かせません。
3. 教育と研修の機会を確保する
経験不足や接遇スキルの不足から態度が誤解されることもあります。外部セミナーや研修制度を活用し、スキルアップの機会を積極的に提供しましょう。
4. 勤務環境を見直す
労働時間・給与・福利厚生などを整えることは、スタッフの態度改善にも直結します。加えて、接遇や勤務態度を評価に反映する仕組み を導入すると、モチベーション維持につながります。
5. 定期的な面談で本音を吸い上げる
不満を抱えていてもスタッフから発信されることは少ないものです。定期的な面談を行い、ストレスや要望を吸い上げる仕組みを整えることが大切です。
まとめ
歯科衛生士だけでなく、歯科医院で働くスタッフに言えることですが、スタッフの態度の悪さは、単に「本人の性格の問題」ではなく、
- 勤務環境
- 経営者やスタッフの姿勢
- 教育や評価の仕組み
といった医院全体の課題が影響していることが少なくありません。
そして、見落としてはいけないのが 患者さまへの影響 です。
態度の悪さは、医院全体の印象を左右し、患者さまの信頼や来院継続に直結します。
問題を表面的に叱責するのではなく、原因を丁寧に探り、経営改善とスタッフ教育の両面から対応すること が、定着率の向上と患者満足度アップにつながります。