~スタッフみんなで安心できる医院づくり~
歯科医院は、限られたスペースの中でたくさんの器具や材料を使い、患者さんを安心させる清潔な環境を守る必要があります。
そこで役立つのが 歯科医院 5S(ごえす)活動 です。
5Sとは、
整理・整頓・清掃・清潔・しつけ
の5つを実行すること。
特別な道具やお金は必要ありません。小さな工夫で、働きやすさや患者さんの安心感につながります。一見すると「当たり前のこと」に思えるかもしれませんが、歯科医院にとっては 診療の効率化、感染対策、患者さんの信頼 すべてにつながる大切な取り組みです。
① 整理 ― 不要なものをなくす
整理とは、「いらないものを片づけること」です。
歯科医院で不要なものとは、
- 使っていないもの
- 使用期限が切れているもの
- 保管義務が終わったもの
などを指します。
ただし、カルテやレントゲン、技工指示書などは法律で一定の期間、保管が決められています。
その期間はしっかりと保管し、過ぎたものはルールを決めて処分や電子化を行います。
👉 ポイントは「定期的に見直して、必要なものだけ残す」ことです。
② 整頓 ― 必要なものをすぐに使えるようにする
整頓とは、「必要なものを、すぐに取り出せるようにすること」です。
整頓の工夫
- 物の置き場所を決める
- 置き場所をスタッフ全員で共有する
- ラベルやプレートで見えるようにする
特にキャビネットの中は、材料が多くて散らかりやすい場所です。
- 処置ごとに使う物をまとめる
- よく使うものを上段や手前に置く
- 決めたルールをスタッフみんなで守る
こうすることで、誰が見てもすぐに必要なものが見つかります。
③ 清掃 ― 掃除と点検をセットにする
清掃とは、「掃除をして、きれいに保つこと」です。
でも大切なのは「掃除だけでなく、点検もすること」。
例えば、ユニットの不具合や小さな破損などは、掃除のときに気づけることがあります。
清掃の工夫
- いつ、誰が、どこを掃除するかルールを決める
- 終わったらチェックリストで確認する
- 待合室やトイレなど、患者さんの目に入る場所も忘れない
👉 「同じ基準できれいにできる仕組み」を作ることがポイントです。
④ 清潔 ― きれいな状態を続ける
清潔とは、「整理・整頓・清掃を続けて、きれいな状態を保つこと」です。
歯科医院では、患者さんに安心して来てもらえるように、いつも清潔にしておくことが大切です。
清潔を守るポイント
- 手洗いや手指消毒をしっかり行う
- マスクや手袋を正しく使う
- 器具は使ったら必ず消毒・滅菌する
- ドアノブや椅子など、患者さんが触れる場所も毎日清掃する
⑤ しつけ ― 習慣にする
5Sで一番むずかしいのが「しつけ」です。
これは「意識しなくても自然に整理・整頓・清掃・清潔ができる状態」を指します。
習慣化の工夫
- 院長先生が率先して取り組む
- スタッフ全員で協力する
- 新人さんにも自然に伝わる仕組みを作る
👉 「やらされている」ではなく、「自分たちの医院をもっと良くするために」という気持ちを持てると、しつけは定着していきます。
まとめ
歯科医院における5S活動は、単なる整理整頓ではなく、
患者さんの安心・スタッフの働きやすさ・診療の安全性 に直結する大切な取り組みです。
- 整理で不要なものを減らし、必要なものを明確にする
- 整頓で必要なものをすぐに取り出せるようにする
- 清掃で点検を兼ね、異常に気づける体制をつくる
- 清潔で感染対策を徹底する
- しつけで習慣化し、医院全体で取り組む
大掛かりなことをしなくても、身近な工夫から少しずつ始めることができます。
ぜひ「うちの医院では何から始められるかな?」と考えてみてください。
小さな一歩が、医院全体の大きな信頼につながっていくと思いませんか。