― 現場スタッフが疲弊しないためには、どうしたらいいか―

「スタッフが続かない」「また求人を出さなきゃいけない」
そう感じている院長先生は、決して少数派ではありません。
実際、歯科医院の離職率は、他の医療職種に比べて高いというデータが出ています。

今回は、離職率という“数字”に注目しながら、なぜ歯科医院では人が定着しないのか、その背景と改善のヒントを考えていきます。


◆ 歯科医院の離職率、実際はどれくらい?

● 歯科衛生士の離職率(厚労省・日本歯科衛生士会の調査より)

  • 1年以内の離職率:約20%
  • 3年以内の離職率:約50%前後

つまり、新卒で採用した歯科衛生士の約半数が3年以内に辞めてしまっているというのが現実です。

特に個人医院では、教育体制や労働環境にばらつきがあるため、「辞めやすい職場」として認識されやすい傾向にあります。


◆ 離職率の高さが医院に与えるダメージ

数字以上に大きいのが、離職が与える人的・経営的ダメージです。

離職の影響内容
人的負担残ったスタッフにしわ寄せが集中。チームワークの崩壊。
採用コスト1人採用するのに平均20万〜30万円の広告費が必要。
教育コスト時間・労力をかけた研修が水の泡に。
患者満足度担当がすぐ変わることで、不信感やクレームにつながることも。

繰り返される離職は、医院の「信用」「空気感」「数字」すべてをじわじわと蝕んでいきます。


◆ 歯科業界における“定着率の壁”とは?

他の職種と比較してみると、歯科業界の定着率の厳しさが見えてきます。

職種3年以内の離職率(目安)
一般企業(新卒)約30%
看護師約11〜12%
歯科衛生士約45〜50%

この数字からも、歯科衛生士が「最も辞めやすい職種のひとつ」であることがわかります。


◆ なぜ、こんなにも辞めてしまうのか?

離職理由として多いのは以下のような項目です:

  • 人間関係のトラブル(同僚・院長)
  • 教育不足・放置されている感覚
  • キャリアアップが見えない
  • 残業・休憩時間・労働環境への不満
  • 評価・給与への不透明感

こうした背景は、「少人数で運営する個人歯科医院」特有の問題でもあります。


◆ 離職率を下げるために、医院が今できること

1. 教育体制の整備

→ マニュアル、チェックリスト、OJTスケジュールの整備で「何をどう覚えるか」が明確に。

2. 定期的な面談・フォローアップ

→ 月1回の1on1面談で、早期の悩みや不安を拾い、離職の芽を摘む。

3. 給与・待遇の見直しだけでなく「やりがい」の設計

→ 評価制度や役割分担を明確にし、モチベーションを保つ仕組みを。

4. “感謝の言葉”を日常に

→ 離職理由のトップは「人間関係」。何より効くのは「ありがとう」「助かったよ」の一言。


離職率は“医院の空気”の指標です

数字は嘘をつきません。
3年以内に半数が辞める職場であれば、それは「働きづらさ」が慢性的に存在している可能性があります。

スタッフが安心して長く働ける環境づくりこそ、採用コストをかける以上に大切な医院経営の柱です。


離職対策・スタッフ定着支援もお任せください

ディー・プラス・エス株式会社では、歯科医院専門に

  • 定着率を高める教育支援
  • 面談制度・評価制度の構築
  • 採用後の育成フォローアップ
  • スタッフ面談代行や第三者ヒアリング

などを通じて、「スタッフが辞めない医院づくり」をサポートしています。

お問合せからお気軽にご相談ください


【まとめ】

  • 歯科衛生士の3年以内の離職率は約50%
  • 離職の原因は「教育」「人間関係」「将来性」など多岐にわたる
  • 離職を防ぐには、“仕組みと気づき”の両方が必要