歯科医院の第一印象は、誰によってつくられると思いますか?
もちろん、院長先生の診療スタイルや医院の設備も大切です。ですが、患者さんが最初に出会うのは“受付スタッフ”です。
その一瞬の対応で、「ここ、素敵な医院だな」もしくは「通いたくないな…」という印象が決まってしまうケースも珍しくありません。
◆ 実際にあった、受付対応の“差”
私自身、日々ご挨拶のためにさまざまな歯科医院を訪問しています。
その際、医院ごとの“受付対応の違い”を感じることが少なくありません。
ドアを開け、受付に向かい「こんにちは」とご挨拶した瞬間、
ある医院では受付の方が無表情で「なんですか?」と冷たく対応されました。
一方、別の医院では、受付の方が笑顔で会釈し、「こんにちは」と明るく応えてくださったのです。
同じ「受付対応」という立場でも、その一言、その表情で、医院全体の印象は180度変わります。
◆ スタッフの態度が“医院の価値”を変えてしまう
あるときの出来事です。
挨拶を終えて帰ろうと靴を履いていた時、ふと患者さんへの対応が耳に入ってきました。
「次の予約なんですけど、えっと〇〇さんって午前がいいんでしたっけ?午後でしたっけ?」
この言い方に、相手への配慮や敬意はまったく感じられませんでした。
語調や言葉選び、表情に少しの気配りがあれば、それだけで患者さんは「大切にされている」と感じるのに…と思った瞬間です。
せっかく先生が高い技術力や優しい診療を提供していても、スタッフの対応ひとつで、その価値が伝わらなくなってしまう。
本当にもったいない、と心から感じました。
◆ スタッフ対応が医院経営に与える3つの影響
- リピート率に直結
受付で不快な対応をされた患者さんは、どんなに治療に満足していても再来院をためらうことがあります。 - 口コミ・紹介の差につながる
友人や家族に紹介する際、「受付が怖かった」と感じた医院をすすめる人はいません。 - スタッフ採用・定着にも影響
院内の雰囲気や人間関係は、見学時や面接時にも伝わります。新しいスタッフが入っても、感じの悪い対応が常態化していれば定着しづらくなります。
◆ 解決のカギは「接遇研修」と「日常の意識づけ」
接遇研修は特別なことではなく、医院全体で「当たり前」を整えるための大切なステップです。
また、「誰のためにこの医院はあるのか?」をスタッフ全員が共通認識として持つことで、自然と対応にも変化が現れます。
- 朝礼でのロールプレイ
- 受付スタッフへのフィードバックの場を定期的に設ける
- 医院の理念や目指す方向を繰り返し共有する
こうした積み重ねが、医院の信頼と評判をつくっていきます。
◆ 最後に:医院の印象は、“たった数秒”で決まる
笑顔での「こんにちは」、丁寧な言葉遣い、温かい表情。
そういった小さな接遇の積み重ねが、患者さんの不安を和らげ、医院への信頼へとつながっていきます。
これは、患者さんだけでなく、歯科医院を訪問される業者の方々や、求人で応募されてた応募者の方にも同様だと思います。
「受付はただの受付ではない」
その大切さに気づいている歯科医院こそ、選ばれ続けていると感じます。