「スタッフがなかなか定着しない」「辞める理由がよく分からない」
そんなふうに感じたことはありませんか?
医院の方針も、診療の質も問題があるとは思えない。
にもかかわらず、なぜかスタッフが長続きしない──
実はその背景に、“スタッフとの対話不足”があることが少なくないのです。
その「対話不足」を解消する、もっともシンプルで効果的な方法が、**定期的な“個人面談”**です。
スタッフが離れていく原因は「気持ちが置き去り」にされているから
離職の理由は、給与や待遇などの条件面だけとは限りません。
むしろ、退職面談などでよく耳にするのは、こんな声です。
- 「何を考えているのか分からない」
- 「私たちがどう働けばいいのか示してほしい」
- 「結局、私たちはどう見られていたのか分からないまま辞めることになった」
これは、“存在を認められていない”と感じている状態です。
つまり「自己重要感」が低下しているのです。
どんな人も、自分が医院の中で役立っている、価値があると思えなければ、長く働こうとは思えません。
特に、歯科医院のように少人数の組織では、この感覚が強く影響します。
個人面談は「つなぐ」ためのコミュニケーション
では、個人面談とは何を話せばよいのでしょうか?
よくある誤解は、“評価”の場だと思われてしまうことです。
しかし、本来の面談の目的は評価ではなく、お互いの理解とすり合わせです。
以下のような問いかけが、面談を良い時間に変える鍵になります。
面談でのおすすめの質問
- この医院で働いて、成長を感じたことはありますか?
→ 自分の変化や努力に気づいてもらえる機会になります。 - 今後チャレンジしたいこと、目標はありますか?
→ 未来の姿を考えるきっかけになり、前向きな気持ちを引き出します。 - 医院に対して、改善してほしいことや気になる点はありますか?
→ スタッフからの本音やヒントがもらえる貴重な機会です。
もちろん、すべてをすぐに変えられなくても構いません。
大切なのは、「聞こうとしてくれている」「関心を持ってもらえている」とスタッフが感じられることです。
この積み重ねが、信頼関係を築き、離職率を自然と下げていくことにつながります。
面談を取り入れている医院は、なぜ定着率が高いのか
私たちがサポートしている医院の中でも、スタッフの定着率が高い医院には共通点があります。
それは、院長先生が「対話の時間を意識的にとっている」ということです。
診療の合間にちょっと声をかけることももちろん大切ですが、面談という“ちゃんと向き合う時間”を設けているかどうかで、スタッフの安心感は大きく変わります。
また、個人面談を通して、スタッフ側から医院を良くするためのアイデアが出ることも少なくありません。
その意見が実際に取り入れられたとき、スタッフのモチベーションは大きく上がります。
「話せる院長先生」は、スタッフに選ばれ続けます
医院の理念や目指す方向を、頭の中ではわかっていても、伝えていなければ存在していないのと同じです。
特に「院長が何を考えているのかわからない」と感じているスタッフは想像以上に多くいます。
まずは、半年に1回でもいいので、1人15分の面談時間をとってみてください。
内容は堅苦しくなくて構いません。
大切なのは、「あなたのことをちゃんと見ています」「考えていることを知りたいです」という姿勢です。
最後に
歯科医院の人間関係は、チームワークがすべてと言っても過言ではありません。
そのチームの土台をつくるのが、院長とスタッフの間にある“信頼”です。
個人面談は、信頼をつくるための小さな習慣です。
それを丁寧に積み重ねていくことで、医院全体がひとつの方向を向き、「辞めない医院」「育つ医院」へと変わっていきます。
スタッフが安心して本音を話せる場、
そして、院長の想いがしっかりと伝わる場として、
「個人面談」を、医院の文化として取り入れてみませんか?