はじめに
「チラシってまだ効果あるんですか?」
先生方とお話ししていると、よくこんな質問をいただきます。確かに今の時代、何かを調べるときはまずスマホで検索、というのが当たり前になりました。わざわざ紙のチラシを作って配るなんて、古いやり方に思えるかもしれません。
実際、私たちがサポートさせていただいている歯科医院の先生方の中でも、チラシ配布に対する考え方は本当にさまざまです。「ポスティングはちょっとやめておきます」と最初から否定的な先生もいらっしゃれば、「ぜひチラシを作って配りたい」と積極的な先生もいらっしゃいます。どちらが正解ということではなく、医院の方針や地域性、そして何より先生ご自身のお考えによって判断が分かれるのは当然のことだと思います。
ただ、私たちが実際にサポートしてきた中で見えてきた「チラシの効果」について、今日は率直にお伝えしたいと思います。特に訪問歯科診療に関しては、予想以上の反応があったんです。
チラシで反応があった診療内容とは
これまで、様々な内容のチラシ作成をサポートしてきました。主なものとしては、訪問歯科診療、歯科矯正、そして自費治療のご案内です。それぞれに目的があり、ターゲットとなる患者層も異なります。
歯科矯正のチラシは、お子さんのいるご家庭や美容意識の高い方々に向けたもの。自費治療のチラシは、より質の高い治療を求める方々へのアプローチです。これらももちろん一定の意味はあるのですが、正直なところ、目に見える形での反応はそれほど多くありませんでした。
ところが、訪問歯科診療のチラシに関しては、配布後に実際に問い合わせの電話をいただくケースがありました。これは私たちにとっても、先生方にとっても、少し意外な結果だったかもしれません。
なぜ訪問歯科診療のチラシが効果的だったのか
この結果を分析してみると、いくつかの理由が見えてきます。
まず、訪問歯科診療を必要とされている方々の多くは、ご年配の方です。足腰が不自由で通院が難しい、介護を受けているご家族がいる、そういった状況の方々にとって、訪問歯科診療は本当に必要なサービスなんです。
でも、考えてみてください。80代、90代の方や、そのご家族が「訪問歯科診療」について調べたいと思ったとき、すぐにスマホやパソコンで検索できるでしょうか。もちろん、最近はご年配の方でもスマホを使いこなす方が増えていますが、それでも「検索して、複数のサイトを見比べて、電話番号を調べて…」という一連の流れは、やはりハードルが高いのかもしれません。
特に、急を要する状況だったり、介護で日々忙しくされているご家族だったりすると、じっくりネットで情報を探す時間も気力もないことが多いんです。
そんなとき、ポストに「訪問歯科診療やっています」というチラシが入っていたら、どうでしょう。必要な情報が、手元に、紙で、わかりやすくまとまって届く。これは意外と大きな意味があるんだと実感しました。
効果的なチラシに必要な要素
訪問歾科診療のチラシで反応があったもう一つの理由は、情報のわかりやすさだと思います。
作成したチラシには、こんな内容を盛り込みました。
料金について
訪問歯科診療と聞くと「高いんじゃないか」と不安に思われる方も多いです。ですから、保険診療の範囲内で行えること、実際の費用の目安などを、できるだけ具体的に記載しました。「通院と同じように保険が使えます」という一文があるだけで、安心感が全く違います。
どんなことをするのか
訪問歯科診療が具体的にどんなサービスなのか、イメージしにくい方も多いです。虫歯の治療、入れ歯の調整、口腔ケア、嚥下のリハビリなど、実際に行える治療内容を具体的に書くことで「うちの家族にも必要かもしれない」と思っていただけます。
対象となる方
「通院が困難な方」だけでは抽象的すぎます。「寝たきりの方」「車椅子を使用されている方」「認知症で通院が難しい方」など、具体的に書くことで、自分や家族のことだと気づいていただけます。
訪問可能なエリア
これも重要です。「うちは対象地域かな?」という疑問をすぐに解消できるよう、町名まで具体的に記載しました。
連絡先と対応時間
大きく、見やすく。電話番号は特に大きな文字で。「平日9時〜18時まで対応」など、いつ電話すればいいかも明記しました。
こうした「知りたい情報」が一枚にまとまっていたからこそ、問い合わせにつながったのだと思います。
チラシ配布の良い点、考えるべき点
実際に取り組んでみて感じた、チラシ配布のメリットとデメリットについても、正直にお伝えしたいと思います。
チラシ配布の良い点
まず、能動的に情報を届けられるという点です。WEB検索は、あくまで「探している人」にしか届きません。でもチラシは、「まだ必要性に気づいていない人」や「探し方がわからない人」にも情報を届けることができます。
また、紙という形で手元に残ります。「今は必要ないけど、いつか必要になったときのために」と冷蔵庫に貼っておいてくださる方もいます。デジタルの情報は流れていってしまいますが、紙は残り続けるんです。
それから、地域を限定できるという点も大きいです。訪問歯科診療のように、物理的な距離が重要なサービスの場合、訪問可能エリアに絞って配布できるのは効率的です。
考えるべき点
一方で、コストはかかります。デザイン費用、印刷費用、そしてポスティング費用。決して安い投資ではありません。
効果測定も難しい面があります。「チラシを見て」と言ってくださる方はいいのですが、実際にはチラシで医院を知って、その後ネットで調べてから連絡される方もいます。そうすると、どこまでがチラシの効果なのか、正確には測れないこともあります。
また、タイミングも重要です。ちょうどそのサービスを必要としている方のポストに、ちょうど良いタイミングで届かないと、反応にはつながりません。これは運の要素も大きいです。
そして、エリアによっては「チラシお断り」のご家庭もあります。こうした配慮も必要です。
先生方それぞれの判断を尊重したい
冒頭でも書きましたが、チラシ配布に対する考え方は先生によって本当に様々です。
「うちの地域は高齢化が進んでいるから、訪問歯科診療のニーズは確実にある。チラシで積極的に知らせていきたい」という先生もいらっしゃいます。
一方で「できるだけWEBマーケティングに力を入れたい。紙のチラシは環境への配慮もあるし、避けたい」という先生もいらっしゃいます。
あるいは「以前チラシを配ったけど、あまり効果を感じられなかった。今は他の方法を試したい」という経験をお持ちの先生もいらっしゃると思います。
どの判断も、間違っているわけではありません。大切なのは、先生の医院の状況、地域の特性、そして先生ご自身の考え方に合った方法を選ぶことだと思います。
私たちが考える、チラシ配布が向いているケース
これまでの経験から、チラシ配布が特に効果的だと思われるケースをいくつか挙げてみます。
まず、訪問歯科診療を始めたばかりで、地域にその存在を知らせたい場合。特に高齢化率の高い地域であれば、潜在的なニーズは確実にあります。
次に、医院の近隣に新しく高齢者施設や介護施設ができた場合。そのエリアに集中的に配布することで、施設のスタッフや入居者のご家族に情報が届きやすくなります。
また、これは訪問歯科に限りませんが、医院をリニューアルしたり、新しい設備を導入したりしたタイミングも、地域への周知という意味で有効かもしれません。
逆に、若い世代をターゲットにしたサービス(例えば審美歯科やホワイトニング)の場合は、SNSやWEB広告の方が効果的なことが多いです。ターゲットによって、適した媒体は変わってくるんですね。
もしチラシを作るなら、こんな点を大切に
もし先生が「チラシを試してみようかな」と思われたら、ぜひ意識していただきたい点があります。
患者さん目線で、わかりやすく
医療用語はできるだけ避けて、誰が読んでもわかる言葉で。特にご年配の方が読むことを想定するなら、文字の大きさも重要です。
不安を取り除く情報を
料金、時間、対象者、エリアなど、「知りたいけど聞きにくい」情報をあらかじめ載せておくことで、問い合わせのハードルが下がります。
連絡先を大きく、わかりやすく
せっかく関心を持っていただいても、連絡先が見つけにくかったら意味がありません。電話番号は特に大きく、見やすい位置に配置しましょう。
タイミングと頻度を考える
一度配って終わりではなく、季節や時期を変えて複数回配布することで、「ちょうど必要なタイミング」に当たる確率が上がります。ただし、やりすぎも逆効果。半年に一度程度が適度かもしれません。
地域を絞る
訪問歯科診療なら訪問可能エリア、一般診療なら通院圏内など、現実的に来院・訪問できる範囲に絞ることで、費用対効果が上がります。
デジタルとアナログ、使い分けが大切
最後に、私たちが常々感じていることをお伝えしたいと思います。
マーケティングの世界では「デジタルかアナログか」という議論がありますが、歯科医院の集患において、どちらか一方だけが正解ということはないと思っています。
例えば、20代〜40代の働く世代に向けては、WEBサイトやSNS、Google検索での上位表示が効果的です。この世代は困ったときにまずスマホで検索します。
一方、60代以上、特に70代、80代の方々やそのご家族には、チラシや地域の情報誌、口コミといったアナログな情報経路がまだまだ有効です。
つまり、先生の医院がどんな患者層にアプローチしたいかによって、使うべき手段は変わってくるんです。
訪問歯科診療を強化したいなら、チラシは有効な選択肢の一つ。小児歯科を充実させたいなら、子育て世代が使うSNSやアプリでの情報発信。矯正治療を広めたいなら、Instagramでのビフォーアフター(もちろん患者さんの許可を得て)や、検索広告。
すべてをやる必要はありません。先生の医院の強み、これから力を入れたい分野、そして地域の特性を考えて、「これだ」と思える方法を選んでいただければと思います。
おわりに
「チラシって、まだ効果あるんですね」
訪問歯科診療のチラシで問い合わせがあったとき、何人かの先生からこんな言葉をいただきました。
正直、私たちも「どうかな」と半信半疑だった部分もありました。でも、実際にやってみて、確かな反応があった。それは、困っている方に、必要な情報が、適切な形で届いたからだと思います。
WEBもチラシも、目的は同じです。先生の医院を知ってもらい、必要としている患者さんに届くこと。その手段として何が最適かは、医院によって違います。
「うちはチラシはやめておこう」という判断も、「試しにやってみよう」という判断も、どちらも正しいです。大切なのは、先生ご自身が納得して選択されることだと思います。