医療広告ガイドラインで特に迷いやすい4つのポイント

キャンペーン広告で迷わないために医療広告ガイドラインで“特に相談が多いポイント”

歯科医院のキャンペーン広告は、集患や情報発信の手段として有効である一方、
医療広告ガイドラインとの関係で「どこまでなら大丈夫なのか分からない」
と悩まれる先生も少なくありません。

本コラムでは、歯科医院のキャンペーン広告と医療広告ガイドラインについて、
実際によく寄せられる相談をもとに、注意すべきポイントを分かりやすく整理します。

医療広告ガイドラインは抽象的な表現も多く、
“知らずに違反してしまう”ケースが起こりやすい分野でもあります。

ディー・プラス・エス株式会社が実際にご相談を受ける中で、
特に質問の多い4つのポイントをQ&A形式で整理しました。


Q1. 「モニター募集」で費用を下げるのは問題ありませんか?

結論から言うと、非常にリスクが高い表現です。

「モニター」という言葉を使っていたとしても、
通常より安い費用を前面に出して患者さんを募る行為は、
実質的な割引広告と判断される可能性が高いとされています。

症例写真の提供やアンケート協力を目的とする場合であっても、
広告上で「価格の安さ」を強調することはできません。

たとえば

通常50万円 → モニター価格30万円

といった表現は、典型的なガイドライン違反と考えられます。

大切なのは、費用ではなく内容の説明。
モニターとしてお願いしたい協力内容や治療の概要を中心に案内する必要があります。


Q2. 「期間限定」という言葉は使ってはいけないのでしょうか?

「期間限定」という言葉そのものが禁止されているわけではありません。

問題になるのは、
期間と費用の割引を結びつけてしまう表現です。

  • ✕「今月限定キャンペーン価格」
  • ✕「期間限定割引」

これらは、患者さんの判断を急がせる不当な誘引と見なされます。

一方で、

  • 「夏休み期間中の矯正相談会」
  • 「開院◯周年記念 検診のご案内(◯月末まで)」

といったように、
“受診や相談の機会を案内する目的”で期間を区切る告知は問題ありません。

期間を使う場合は、
「安さ」ではなく「情報提供や機会づくり」が主目的になっているか
を一つの判断軸にしましょう。


Q3. ホームページと院内掲示では、ルールは違いますか?

はい、媒体によって扱いは異なります。

  • ホームページ:広告に該当
  • 院内掲示:原則、広告には該当しない

広告に該当するかどうかは、
以下の2点を満たすかで判断されます。

  1. 患者の受診を誘引する意図があるか
  2. 医療機関が特定できるか

ホームページは不特定多数が閲覧できるため、
この2要件を満たし、医療広告ガイドラインの対象となります。

一方、院内掲示は既に来院している患者さんへの情報提供であり、
原則として広告には該当しません。

ただし注意点として、
持ち帰り可能なチラシやパンフレット
院外への誘引性があると判断され、広告扱いになる可能性があります。


Q4. SNSの体験談やインフルエンサー投稿は大丈夫ですか?

SNS運用については、特に慎重な判断が必要です。

医療広告ガイドラインでは、
患者さん個人の感想や体験談を広告に用いることは、内容に関わらず禁止されています。

そのため、

  • 治療を受けた感想の紹介
  • ビフォーアフターに紐づく体験談

などは掲載できません。

さらに、
クリニックが依頼・報酬を支払ってインフルエンサーに投稿してもらった場合、
その投稿は「広告」と見なされます。

この点は、2023年10月から始まった
ステルスマーケティング規制とも重なり、
以前よりも厳しい目で見られるようになっています。

「よく見かけるから大丈夫」ではなく、
ガイドライン上どう扱われるかを基準に判断することが重要です。


守ることは、発信を止めることではありません

医療広告ガイドラインは、
「何も発信してはいけない」というルールではありません。

正しく理解すれば、安心して情報提供を続けるための指針になります。

ディー・プラス・エス株式会社では、
歯科医院の先生方が
「知らずに違反してしまう」
「不安で発信を止めてしまう」
ことのないよう、実務目線でのサポートを行っています。

キャンペーンや情報発信で迷ったときは、
一度立ち止まって、ガイドラインの視点から整理してみましょう。

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