歯科医院は、患者とスタッフ、スタッフ同士の距離が近い職場環境です。
その一方で、セクシュアルハラスメント(セクハラ)の発生リスクが高い環境でもあります。
本記事では、歯科医院で起こりやすいセクハラの実態と、院長が取るべき対策について解説します。
歯科医院で起こるセクハラの2つの側面
①歯科医師・スタッフ間でのセクハラ
職場内での上下関係や人間関係を背景に、院長からスタッフへの性的な言動や行為が発生することがあります。
たとえば、
- 不必要な身体接触
- 性的な冗談や発言
- プライベートな関係の強要
これらはいずれもハラスメント防止法(労働施策総合推進法)の対象となり、職場の安全配慮義務違反として院長が責任を問われる可能性もあります。
②患者とスタッフ間でのセクハラ
歯科医院では、患者との距離が近いため、次のような事例が報告されています。
歯科医師から患者へのセクハラ
治療と称して不必要な接触を行う、治療中にわいせつな言動をするなど、明らかに不適切な行為です。
患者は治療台で仰向けになり、視界を遮られるため、無防備な状況に置かれやすい点も特徴です。
実際に、こうした行為が刑事事件として逮捕・起訴されるケースもあります。
患者からスタッフへのセクハラ(カスハラ)
受付や診療中に、患者がスタッフに対して性的な発言をしたり、身体に触れたりするケースもあります。
これはいわゆるカスタマーハラスメント(カスハラ)に該当し、院長として職員を守る体制づくりが求められます。
院長が取るべきセクハラ防止の取り組み
1. 明確なルールと方針を示す
院内に「セクハラを許さない」という明確な方針を打ち出しましょう。
就業規則や院内マニュアルに、ハラスメント防止規定と具体的な行為例を明記しておくことが大切です。
2. 相談しやすい環境を整える
被害者が声を上げにくい環境は、問題を長期化させます。
- 院内に相談担当者を設ける
- 外部機関(社労士・弁護士など)と連携する
といった仕組みを整え、相談しやすい職場づくりを行いましょう。
3. 院長自身の意識改革
セクハラ防止の第一歩は、トップの意識です。
冗談のつもりの発言や軽い接触でも、相手にとっては不快な場合があります。
院長自身が「模範となる行動」を意識し、スタッフに安心感を与える姿勢を持つことが重要です。
セクハラが発生した際の初動対応
セクハラの報告を受けた場合は、次の手順で対応しましょう。
- 被害者の話を丁寧に聞く(否定・軽視しない)
- 事実関係を客観的に確認する
- 加害行為が確認された場合は速やかに処分・再発防止策を講じる
- 必要に応じて外部機関(警察、労基署、男女平等相談センター等)へ相談する
被害を放置すると、被害者の離職や医院の評判低下、さらには法的責任を問われるリスクが高まります。
早期かつ適切な対応が、信頼回復の鍵です。
安心して働ける歯科医院づくりのために
セクハラ問題は個人間のトラブルではなく、医院全体の信頼や経営に直結する課題です。
スタッフが安心して働ける職場は、結果的に患者の安心にもつながります。
ディー・プラス・エス株式会社では、歯科医院のハラスメント防止体制の構築支援や職場改善のご相談も承っています。
院長ご自身のリスクマネジメントの一環として、今一度、院内体制を見直してみてはいかがでしょうか。
【まとめ】
- 歯科医院のセクハラは「院内」と「患者関係」の両方で発生する
- 防止には「ルールの明文化」「相談体制の整備」「院長の意識」が重要
- 問題発生時は早期対応と専門機関への相談を
安心して働ける職場環境づくりは、院長が率先して行うべき医院経営の基礎です。
厚生労働省:職場におけるハラスメント防止のために