現在、歯科衛生士の免許を持ちながら離職している方が約15万人も存在していると言われています。これは歯科医療業界にとって深刻な課題の一つです。
なぜ歯科衛生士は「もう戻りたくない」と感じてしまうのか?
ある新卒の歯科衛生士さんは、初めて就職した歯科医院で体調を崩し、現場を離れることになりました。
「もう怖くて戻れません…」という言葉からは、現場への不安や恐怖がにじみ出ていました。せっかく取得した資格も本人にとっては重荷となり、戻る気持ちはもうないそうです。
新卒の衛生士さんたちは、「学べる環境」や「自分が成長できる職場」を求めて就職します。ある歯科医院では、教育係を設けて段階的にスキルアップできるカリキュラムを用意していました。座学、実習、そして最終テストを経て患者対応へ進む流れです。
しかし、成長過程で涙を流すスタッフが少なくありませんでした。場合によっては心身の不調をきたし、診療内科の受診を経てやむなく退職することもありました。その原因は様々です。学ぶ環境が整っていても、そこには人間関係の構築も必要です。自信の無さから先輩の発する一言でも大きく傷ついたり、悩んだりしてしまうのです。不安の中で目の前の業務に励む日々で大なり小なりの悩みはつきものです。スタッフの心に寄り添った実習や教育が大切です。
安心して働ける職場づくりのカギは「教育」と「コミュニケーション」
体調を崩し出勤できずに早期退職といった事態を防ぐために、この歯科医院では教育制度の見直しをし、個人のペースに合わせた柔軟な研修体制に整えました。同じゴールを目指すのではなく、一人ひとりの成長を見守る方法です。
見落とされがちな「スタッフ間のコミュニケーション」を大切にし、相談がしやすい環境を整えました。
仕事の悩みを誰にも相談できず、孤独の中で働き続けることで心が疲弊してしまいます。
だからこそ、日々の声かけが大切です。「何か困っていることはない?」「体調は大丈夫?」といった小さな気遣いでも、大きな支えになります。
まずは、安心して働ける環境づくりから始めましょう。
それが、離職を防ぎ、歯科衛生士の“潜在化”を防ぐ第一歩になるはずです。