前回のコラムでは、
ライフステージの変化がきっかけとなり、
「特定の人にしかできない状態」から脱却しようとする歯科医院のリアルをお伝えしました。

今回は、その続きとして
「教育係を任せる側・任される側の注意点」について掘り下げていきます。

これは、採用と教育を同時に進めようとする歯科医院で、
必ず直面するテーマだと思います。


教育係に“向いている人”=仕事ができる人、ではない

教育係を決めるとき、
多くの医院でまず候補に挙がるのは、

  • 仕事が早い
  • ミスが少ない
  • 院長の考えを理解している

いわゆる「できるスタッフ」です。

もちろん、それは大切な要素です。

ただし、
仕事ができることと、教えることができることは別
である、という視点は欠かせません。

  • 無意識に“自分基準”で判断していないか
  • 教えるスピードが早すぎないか
  • なぜそのやり方なのかを言語化できているか

教育係を任せる側には、
こうした点を一緒に確認していく姿勢が求められます。


任せきりにしない

「教育係を決めたから、あとはお願い」

この状態は、
教育係にとっても、新人スタッフにとっても
大きな負担になります。

教育係を任せる、ということは、
院長や管理側が“一歩引く”ことではありません。

  • 教え方に迷っていないか
  • 負担が集中していないか
  • 思うように進まず、悩んでいないか

定期的に声をかけ、
軌道修正できる余白を残すことが重要です。


教育係を「孤立させない」仕組み

この医院では、
スタッフ教育用のチェックシートをもとに、
教育内容を可視化しています。

教育係一人の判断に委ねるのではなく、

  • どこまでできればOKなのか
  • 何をもって“習得”とするのか

を、共通認識として持つためです。

これは、
教育係を守るための仕組みでもあります。

「教えた・教えていない」
「言った・聞いていない」

そうしたすれ違いを減らし、
教育係が一人で抱え込まない状態を作ります。


教育を任される側の不安と責任

一方で、教育係を任されるスタッフ側にも、
大きなプレッシャーがあります。

  • 自分に務まるのか
  • もし新人が辞めたら、自分のせいではないか
  • 今の業務と両立できるのか

特に、
ライフステージの変化を控えている場合、
「本当に引き受けていいのか」と悩むのは当然です。

だからこそ、

▶ 期間を区切る
▶ 完璧を求めすぎない
▶ うまくいかなければ、やり方を変える

こうした前提を、
最初に共有しておくことが重要です。


うまくいかなくても、それは失敗ではない

教育の現場では、

  • 思ったように伝わらない
  • 想定より時間がかかる
  • 途中で方法を変えたくなる

こうしたことは、必ず起こります。

この医院では、

「結果がわからないものは、まずやってみる」
「ダメなら、別の形でやり直せばいい」

という考え方を大切にしています。

教育も同じです。

一度でうまくいかなくても、それは失敗ではありません。

試行錯誤を重ねることでしか、
その医院に合った教育の形は見えてこないのです。


教育係を育てることは、医院の未来を育てること

教育係を任せる、という決断は、
短期的に見れば、負担が増える選択かもしれません。

しかし、

  • 誰かが抜けても回る
  • 教えられる人が複数いる
  • 同じ基準で仕事ができる

そんな状態を作ることは、
確実に医院の未来を支えます。

ディー・プラス・エス株式会社では、

▶ 教育係を任せる設計
▶ チェックシートの作成・見直し
▶ 教育が属人化しない仕組みづくり

を通して、
人に振り回されない歯科医院づくりを支援しています。

このコラムが、
「そろそろ教育の仕組みを見直した方がいいかもしれない」
そう感じている院長先生の、
次の一歩につながれば幸いです。