【マニュアルのない医院】スタッフ退職と採用が重なったタイミングで改革スタート
これまでマニュアルが一切存在しなかった、とある小規模歯科医院。スタッフ数は3名、うち1名が退職予定という状況で、院内は大きな転換点を迎えていました。
新人スタッフの採用にあたり、私は院長に「マニュアルを作りませんか?」とご提案しました。なぜなら、せっかく新しいスタッフを迎えても、何をどう教えたらいいのか、誰が教えるのかが不明確なままでは、教育の質が安定せず、結果的に定着率にも影響してしまうからです。
【提案】新人スタッフの受け入れには「見える化」が不可欠
この提案はすぐに受け入れられ、退職予定のスタッフも巻き込みながら、マニュアル作成がスタートしました。
作成したのは、以下の3つのマニュアルです。
【実行】3つのマニュアルを作成し、院内業務を整理
● ① 治療マニュアル:処置ごとの準備・流れを明文化
診療室内で行う処置ごとに、準備する器材や手順を明記しました。ベテランスタッフの「当たり前」を見える化し、新人にも伝わるようにしました。
● ② 業務マニュアル:在庫・準備・片づけなど診療以外の流れ
朝の準備から帰りの片づけ、在庫の確認、業者対応など、日々のルーチン業務を整理。スタッフが「次に何をすべきか」を迷わず動けるようにしました。
● ③ 教育チェックリスト:1ヶ月・2ヶ月・3ヶ月の育成目標
入職から1か月、2か月、3か月…とステップごとに「できるようになる目標」を設定したチェックシートです。新人スタッフ自身も進捗が見えるため、安心して仕事を覚えることができます。
【成果】採用決定から入職前までにマニュアルを完成
採用が決まり、新人が入職するまでの期間でこれらを一気に作り上げ、迎え入れの準備を整えました。
もちろん初めてのマニュアルづくりだったので、「これはいらなかったかも」「ここはもっと詳しく書くべきだった」といった気づきもありました。ですが、それもまた“生きたマニュアル”ならではの大切なプロセスです。
【進化】1年後のアップデートは“元・新人スタッフ”が担当!
そして、作成から約1年が経過した今、私はマニュアルのアップデートを提案しました。
アップデートを担当するのは、実際にこのマニュアルを見ながら仕事を覚えた新人スタッフです。
「使ってみてわかることがたくさんありました」と言いながら、快く再作成を引き受けてくれました。
【提案から実現へ】「サクッと確認できる簡単マニュアル」の発案
さらに、そのスタッフからは新たな提案も。
「内容がしっかりしていて良いマニュアルだけど、ちょっと確認したい時に、サクッと見られる簡単バージョンもあると便利ですよね」と。
私はすぐに院長へ報告し、「簡易マニュアル」の作成にも着手することに。こうしてスタッフからの意見を取り入れながら、より現場に合ったマニュアルへと進化しています。
小さな歯科医院の変化が、院内の風通しを良くする
マニュアル作成をきっかけに、院内の業務はスムーズになり、スタッフ同士の連携も良くなりました。働く環境が整ったことで、医院全体が活性化したと実感しています。
今後も、私はこの医院の顧問として、さらなる院内改善をサポートしていく予定です。
小さな取り組みの積み重ねが、大きな変化を生み出す。そんな実例として、ぜひ参考になれば嬉しいです。