〜「説明がわかりやすい歯科医院」は、チームでつくれる〜

最近では、患者さんへの説明を専門に行う「トリートメントコーディネーター(TC)」を置く歯科医院が増えています。
治療内容や費用のことを丁寧に説明してくれる存在として、患者さんとの信頼関係づくりにも大きな役割を果たしています。

しかし、こんなお悩みも多く聞かれます。

  • TCを置きたいけれど、採用できる人がいない
  • そもそも育てる時間や体制がない
  • 結局すべて院長が説明するしかなく、手が回らない

実は、トリートメントコーディネーターがいなくても、スタッフ全員の力で「説明がわかりやすい歯科医院」をつくることは可能です。
今回は、そんな工夫を実践している歯科医院の事例をご紹介します。


院長の負担が増える「説明の壁」

トリートメントコーディネーターがいないと、次のようなことが院長に集中しがちです。

  • 治療の流れや選択肢を説明する時間がとれない
  • 自費治療の提案ができないまま終わってしまう
  • 患者さんが納得できずに、治療をキャンセルしてしまう

特に「丁寧に説明したいのに、診療が詰まっていて話せない」という声は多く聞かれます。


チーム全員で「伝える力」を高めるという選択

ある歯科医院では、トリートメントコーディネーターを置かず、スタッフ全員で“説明力”を高める方法を選びました。
ポイントは、「誰かひとりに任せる」のではなく、「みんなで支え合う」という発想です。

実際に行った取り組み

  1. 治療ごとの「説明の台本(テンプレート)」をつくる
     → インレーや根管治療など、よくある治療について、「このようにお伝えするとわかりやすい」という例文を共有しました。受付や助手でも話しやすくなります。
  2. スタッフ向けの“伝え方練習会”を月1回実施
     → どう言えば患者さんに安心してもらえるか、接遇やカウンセリングの練習を続けています。
  3. 「こう聞かれたら、こう答える」例をメモで共有
     → 院長が説明した内容をスタッフにも共有し、「説明がバラバラにならないように」心がけています。

実際にどう変わったか?

この医院では、説明の工夫を始めてから次のような変化が見られました。

  • 初診カウンセリングの時間が少し長くなり、患者さんの理解度がアップ
  • 自費治療の相談が増え、成約率が20% → 32%にアップ
  • 「説明が丁寧で安心できた」と口コミに書かれるようになった

院長がひとりで抱えなくていい

「説明がうまくいかない」のは、誰かひとりの問題では
むしろ、チーム全体で“伝える力”を育てることが大切です。

例えば…

  • 歯科助手が「今日の診療では、〇〇の確認もあるかもしれません」と一言伝える
  • 歯科衛生士が「この処置をすると、こういったメリットがありますよ」と補足する
  • 受付スタッフが「次回は〇〇の治療になりますので、お時間を少し多めにいただきます」と事前に案内する

こうした“ちょっとした伝え方”の積み重ねが、患者さんの安心感や信頼につながります。


TCがいなくても、説明の質は上げられる

トリートメントコーディネーターは、いればとても心強い存在です。
でも、いないからといって、あきらめる必要はありません。

スタッフみんなで「伝え方をそろえる」「患者さんにわかりやすく話す工夫をする」ことで、
患者さんにとって安心できる、説明上手な医院は十分に実現できます。

ディー・プラス・エス株式会社では、
✅ スタッフ向けの接遇・説明サポート
✅ 院内用の「説明のテンプレート」作成支援
✅ 伝わる言葉づかいの見直し など、
“伝える力を高める”取り組みをお手伝いしています。

トリートメントコーディネーターがいない医院こそ、
説明の質を高めるチャンスかもしれません。