歯科医院経営に欠かせない「労務管理」という視点
「労務管理」というと、少し堅苦しい印象を受けるかもしれません。
しかし、日々の診療を安定的に続けていくためには、スタッフの雇用・勤務・評価などを適正に管理することが欠かせません。
特に、小規模な歯科医院では、「採用」や「シフト管理」、「トラブル対応」などをすべて院長が担っていることも多く、気づかぬうちに“労務リスク”を抱えているケースもあります。
こんなこと、ありませんか?
- スタッフが突然「有給を全部使いたい」と申し出てきた
- 勤怠の記録が曖昧で、残業代の計算に自信がない
- ハラスメントや職場内の人間関係に不安がある
- 雇用契約書をきちんと交わしていない
- 社会保険や労災の対応がわからず不安
これらはすべて「労務管理」の領域です。
放置してしまうと、スタッフとの信頼関係にヒビが入ったり、法的なトラブルに発展する可能性もあります。
歯科医院の労務管理で押さえておきたい5つの基本
① 雇用契約書を必ず交わす
口頭での約束ではなく、勤務条件(雇用形態・給与・就業時間など)を書面にして交付することが法令で定められています。
② 就業規則・勤務ルールを整備する
人数に関係なく「医院内のルール」を明文化することで、トラブルを未然に防ぐ効果があります。
③ 勤怠管理は正確に
タイムカードや勤怠アプリなどを活用し、残業・遅刻・早退などを適正に管理しましょう。
④ 有給休暇・産休・育休の制度理解を
制度を知らないままの対応は“違法”になる可能性も。最低限の知識を身につけておくことが大切です。
⑤ 定期的な面談や評価の場を設ける
スタッフの不満や不安をそのままにせず、解決できる仕組みづくりも労務管理の一部です。
経営と労務は、車の両輪
「労務のことは、よくわからないから後回しにしている」
「うちは人数が少ないから、特別な管理は必要ない」
そう思われる先生も少なくありません。
しかし、労務管理は医院の“未来を守る”ための経営戦略でもあります。
給与計算や社会保険手続きのアウトソーシング、就業規則の整備、スタッフ教育の見直しなど…
今できることから少しずつ、取り組んでいくことで、働きやすい職場と安定した組織運営が両立できます。
最後に|専門家に相談するという選択肢
労務管理の知識は、法律や制度の改正に影響されやすく、常にアップデートが求められます。
院長が一人で抱えるのではなく、社会保険労務士や専門業者との連携を検討してみるのも一つの方法です。