医療機関のホームページやチラシ、SNSなどで、患者さんに向けた情報発信をする機会が増えています。
その一方で、「どこまで表現していいのか?」「この言い回しはセーフ?」と悩むことも多いのではないでしょうか。
今回は、厚生労働省の定める医療広告ガイドラインをもとに、「やってはいけない広告表現」について、わかりやすくご紹介します。
1. 虚偽広告(うそ・誤解を招く表現)
❌ 絶対にNGな表現の例
- 「絶対に安全な手術です!」
- 「どんな症例でも必ず成功します」
- 「厚生労働省認可の○○専門医」
- 「すべての治療が1日で終わります」※定期通院が必要なケースで
- 「満足度○%!」※根拠や調査方法が不明な場合
ポイント
事実と異なる表現や、誤解を与えるような誇張は「虚偽広告」として厳しく禁止されています。
とくに、加工された術前・術後の写真や、調査根拠のないデータ表示には注意が必要です。
2. 比較優良広告(他院と比べて“うちが上”という表現)
❌ NGになる比較表現
- 「県内で医師数No.1!」
- 「日本一の実績を誇る歯科医院」
- 「芸能人も通う○○歯科」
- 「有名人の○○さんが当院を推薦!」
ポイント
たとえ事実であっても、「日本一」「No.1」「最高」などの表現は、他院より優れている印象を与えるため禁止されています。
比較ではなく、事実に基づいた中立的な表現を心がけましょう。
3. 誇大広告(必要以上に大げさな表現)
❌ 誤認を与える誇張例
- 「知事の許可を得た病院です!」(※病院はすべて知事の許可が必要)
- 「○○手術は効果が高くおすすめです!」(根拠なし)
- 「二人に一人が○○のリスク!」(科学的根拠がない)
- 「○○センター」と名乗る(※正式な認定や地域医療の役割がない場合)
ポイント
大げさな表現や期待感をあおるような内容は、たとえ事実でも“誇大広告”と判断される可能性があります。
特に自由診療を扱う場合、費用や治療効果の説明は慎重に!
自由診療の情報(※記載必須)
自由診療を掲載する場合には、以下の4項目をすべて明記する必要があります。
- 治療内容の説明
例:「セラミックの被せ物を使用し、自然な見た目に仕上げる審美治療です」 - 費用(税込)
例:「1本88,000円(税込)」 - 治療期間・通院回数の目安
例:「通院2〜3回、約2週間程度で治療が完了します」 - 主なリスク・副作用
例:「一時的にしみる症状が出ることがあります」
➡ これらを省いた情報掲載はNGとなります。“患者さんに誤認を与えない”ことが最大のポイントです。
ガイドラインを守りながら、伝える力を
医療法に基づく広告規制は、「患者さんを守るため」の大切なルールです。
しかしそれは、医院の魅力を伝えられないという意味ではありません。
むしろ、正確で誠実な情報提供こそが、患者さんとの信頼を築く第一歩です。
医院の理念や取り組み、安心して通える環境を
“事実に基づいた言葉”で丁寧に伝えていきましょう。