ある歯科医院で、スタッフの態度についての悪い口コミが投稿されました。
「スタッフの態度の酷さに、気分を悪くした」といった内容です。
院長先生が確認すると、誰のことを指しているかはすぐに分かりました。
そこで、該当するスタッフに事実確認をしたところ、返ってきた言葉は──
「よかった、私じゃなくて。」
院長先生は耳を疑いました。
口コミの内容からして明らかにそのスタッフのことだったのに、本人は否定。
結果として、態度の改善を求めようにも、本人が認めない以上、指導のしようがない状態でした。
このようなケースは、どの医院でも起こり得ます。
問題は、「間違いを認めないスタッフ」にどう対応するか、です。
まずは“否定の裏にある心理”を理解する
スタッフがすぐに「違います」と否定する背景には、
・責められたくない
・評価を下げたくない
・自分を守りたい
という心理が働いています。
これは珍しいことではなく、特に職場での人間関係が不安定なスタッフほど、この傾向は強くなります。
そこで面談を行いました。
面談では、「事実を追及する」よりも「状況を一緒に振り返る」 ことを意識しました。
「こんな口コミがあったけど、心当たりはある?」と、確認を進めました。
当初の否定から完全な認識・反省には至っていないものの、一定の自覚が生まれ始めている様子が見られました。
信頼を取り戻すための対応
- 行動の変化を観察する
言葉で認めなくても、本人が少しでも態度や接し方を変えようとしているなら、その兆しを見逃さずに評価しましょう。
小さな変化を見つけ、肯定的にフィードバックすることで、徐々に意識が変わることがあります。 - 具体的な基準を伝える
「患者さんにはこう接してほしい」「受付ではこの言葉づかいを」など、感情ではなく行動基準を明示することが大切です。
本人が感情的な否定をしても、行動面での改善を求める形なら受け入れやすくなります。 - フォローのタイミングをつくる
一度きりの指導で終わらせず、1〜2週間後に再度「その後どう?」と確認することで、継続的な意識づけが可能になります。
それでも信頼が戻らない場合は
努力をしても、うまくいかないケースもあります。
信頼を回復しようとしても、価値観がかみ合わず、同じ方向を向けないこともあるでしょう。
- 「合う・合わない」を冷静に受け止める
人間関係には相性があります。
「なぜ分かってくれない」と感情的になるより、「このスタッフとは医院の方向性が違う」と整理して考えることが必要です。 - 他のスタッフへの影響を考える
信頼が失われた状態で働き続けると、周囲にも緊張感が広がります。
チーム全体の空気がぎこちなくなり、結果的に医院全体のパフォーマンスが落ちることもあります。 - 「離れる」ことも経営判断の一つ
それでも改善が見られず、信頼が回復しない場合は、最終的に**「方向性の違い」**として手を離すことも選択肢です。
離職は決して失敗ではなく、「医院に合う人材を残していく」ための自然な過程です。
院長が“信頼を取り戻そうとした”ことに意味がある
信頼が戻るかどうかよりも大切なのは、院長先生が「スタッフに誠実に向き合った」ことです。
その姿勢は、他のスタッフが見ています。
スタッフの態度や言葉に問題があったとしても、院長が冷静に、誠実に対応したという事実こそが、医院全体の信頼を支える礎になります。