歯科医院のホームページやSNS、Googleビジネスプロフィールをお手伝いしていると、
「これは載せて大丈夫?」
「広告になるの?ならないの?」
というご相談を本当によくいただきます。
医療広告ガイドラインは、医師・歯科医師だけでなく、医療機関に関わる広告関係者すべてが守るルールです。
制作会社任せにしていても、最終的な責任は医療機関側にあります。
今回は、過去のコラム内容と重複しないよう、
現場でよく起こりがちなケースを意識しながら、医療広告ガイドラインの考え方を整理してみます。
※本記事は、2021年4月1日時点の医療広告ガイドラインを基にしています。
そもそも「医療広告」とは?
医療広告ガイドラインでは、次の2つを満たすと「広告」と判断されます。
- 患者さんの受診を促す意図があること
- 特定の医療機関・歯科医院が分かること
ポイントは、
- 「広告ではありません」と書いてあっても
- 直接的な表現を避けていても
実質的に医院をPRしていれば広告扱いになるという点です。
ブログ、症例紹介、コラム、SNS投稿、Googleマップの情報も例外ではありません。
医療広告ガイドラインって何のためにある?
医療広告ガイドラインの正式名称は、
医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針
少し堅い名前ですが、目的はとてもシンプルです。
- 患者さんが誤った情報で判断しないため
- 不安や期待を過度にあおらないため
- 正しい情報をもとに選択できるようにするため
特に、美容医療や自由診療の相談が増えたことを背景に、ルールが整備されてきました。
Webサイトも規制対象になっています
「ホームページは広告じゃない」という時代は、すでに終わっています。
2018年の法改正以降、
歯科医院のWebサイトも明確に広告規制の対象となりました。
- ホームページ
- ブログ記事
- ランディングページ
- SNS
- メールマガジン
費用がかかっていなくても、
宣伝目的であればすべて対象です。
厚生労働省による「医療機関ネットパトロール」も常時行われており、
実際に歯科分野の指摘件数は少なくありません。
広告として認められている内容
制限が多い一方で、
きちんと守れば掲載できる情報もあります。
① 医療機関・歯科医師の基本情報
- 歯科医院名・住所・電話番号
- 歯科医師名・プロフィール
- 診療科名(歯科・小児歯科・矯正歯科など)
※個人としての手術件数はNGですが、
医院としての実績+期間明記であれば可能な場合があります。
② 医院の運営に関する情報
- 診療時間・休診日
- 予約の有無
- スタッフ数
- 院内設備
院内写真や設備写真、診療風景の掲載も認められています。
据え置き型医療機器については、メーカー名の記載も可能です。
③ 提供している医療サービス
- 行っている治療内容
- 治療方針
- セカンドオピニオン対応の有無
ただし、
効果・成功率・満足度には触れないことが大前提です。
歯科医院が特に注意したい「NG表現」
実際の指摘で多いのが、次のようなケースです。
よくあるNG例
- 「日本一」「No.1」「最高」などの最上級表現
- 「必ず成功」「絶対に安全」
- 根拠のない満足度・成功率
- 比較優良表現(他院より優れている表現)
- 患者さんの治療体験談
また、
- 「◯◯外来」
- 「審美治療」
といった言葉も、
誤解を招きやすいため注意が必要です。
自由診療で必ず押さえたい3つのポイント
インプラント、矯正、ホワイトニングなどの自由診療では、
特に次の点が重要になります。
① 費用の明記
- 保険適用外であること
- 標準的な費用
「◯万円〜」「約◯万円」といった表記は可能ですが、
患者さんがイメージしやすい書き方が求められます。
② リスク・副作用の説明
メリットだけでなく、
デメリットやリスクも必ず併記します。
未承認医療機器・医薬品を使用する場合は、
- 未承認であること
- 入手経路
- 国内承認の有無
- 海外での安全性情報
まで説明が必要です。
③ 誤解を招く表現を使わない
- 「痛くない」
- 「誰でも簡単」
- 「短期間で確実」
といった表現は、
意図せず誇大広告になることがあります。
「限定解除」という考え方
原則は広告可能事項のみ掲載可能ですが、
次の条件を満たす場合、情報提供の幅が広がります。
- 患者さんが自ら探して読むWebサイトであること
- 問い合わせ先が明確であること
- 自由診療の内容・費用が分かること
- リスク・副作用も説明していること
単に情報を増やせばよい、という話ではなく、
患者さんの判断材料になるかどうかが軸になります。
もし違反の指摘を受けたら
ネットパトロールや通報により指摘を受けると、
まず「修正・削除」の通知が届きます。
この段階で誠実に対応すれば、
大きなトラブルに発展するケースは多くありません。
放置した場合、
是正命令や罰則、医院名の公表につながる可能性もあります。
まとめ|守るべきは「患者さん目線」
医療広告ガイドラインは、
歯科医院の表現を縛るためだけのルールではありません。
- 患者さんが正しく理解できるか
- 不安や期待をあおっていないか
この視点で一つひとつ確認していくことが、
結果的に医院の信頼につながります。
発信に迷ったときは、
「これを患者さんが見たら、どう受け取るだろう?」
その一言を基準に考えてみてください。