「仕事が楽しいと思えないです…」その一言が重く残った日
歯科医院の人材不足は、
「人が足りない」という言葉だけでは語れません。
院長1人、スタッフ3〜4人という体制では、
誰か1人が欠けるだけで、医院全体に支障がでることがあります。「人が足りない」が現場の共通認識になっています。
実際には、
人数の問題ではなく、“誰が抜けるか”の問題であることがほとんどです。
「仕事が楽しいと思えないです…」
ある歯科医院でのことです。
中堅の歯科衛生士さんが、私にこう言いました。
「正直、仕事が楽しいとか、思えないです…」
彼女は、決して怠けているスタッフではありません。
むしろとても仕事に忠実で、医院の流れも把握している存在です。
その日、私は患者として定期健診を受けていました。
- 必要な検査を淡々と行い
- 記録を取り
- 施術をこなし
- 決められた時間内にきちんと終え
- 次回の予約まで抜かりなく取る
業務としては、何ひとつ問題はありません。
ただ一つ違和感があったとすれば、
ほとんど笑顔はありませんでした。
そして何より、
患者である私に「仕事が楽しくない」と口にできてしまう状態に、
ちょっとマズいんじゃないかなとも感じました。
「ちゃんとやっている」けれど、限界に近い
小規模歯科医院では、中堅スタッフが
- 新人のフォロー
- 院内の空気調整
- 院長とスタッフの間のクッション
- 業務の“当たり前”を守る役割
こうしたものを、無意識のうちに背負っていることが少なくありません。
彼女もまさにそうでした。
誰かが休めばカバーに入り、
トラブルがあれば先に気づき、
「回るように」動く。
でもその一方で、
自分の気持ちを置き去りにしたまま、仕事をこなしている。
「辞めたい」とは言わないし、
「できません」とも言わない。
ただ、楽しいと思えなくなっている状態です。
これは、とても危険だと思います。このスタッフから突然、退職の申し出があるというパターンになるかもしれません。
小規模医院ほど、「その人」が抜けると回らない
この規模の医院では、
- 人が1人欠ける
- 中堅が疲弊する
- 院長がカバーに入る
- 現場が一時的に回る
ここまでは、よくある話です。
問題はその先です。
「ちゃんとやってくれていた人」が限界を超えたとき、
医院は一気に回らなくなります。
しかもそれは、
辞める直前まで表に出ないことが多いのです。なぜなら、本人が決して大変だと言わないからです。
仕事ができるスタッフは、仕事を抱えやすいです。本人も抱えた仕事を周りには振らずに自分で、なんとかこなそうと頑張ってしまいます。その結果、潰れてしまう…。
そうなってからでは遅いと思いませんか。そのスタッフに全てを任せるのではなく、他のスタッフに仕事を割り振ることが大切です。
“気持ち”の問題ではありません
ここで誤解してほしくないのは、
これは 本人の気持ちの問題ではないということです。
- 頑張り屋だからこそ
- 責任感が強いからこそ
- 医院を分かっているからこそ
限界まで黙ってしまう。
つまり問題は、
「やる気」や「意識」ではなく、
人に依存してしまっている医院の状態にあります。
院長先生・事務長に知ってほしいこと
もし、院内に
- 何でも分かっている中堅スタッフがいる
- その人がいないと不安になる
- 休まれると一気にバタつく
こうした状態があるなら、
それはすでに 黄色信号です。
「辞めそうだから対策する」のではなく、
苦しくなる構造を見直してみるのがいいのかもしれません。
出来るスタッフには、ついつい頼んでしまいがちです。ただ、どれだけの仕事を抱えているかはわからないこともあります。
スタッフが抱えている今の仕事を全て書き出してもらい、他のスタッフに任せても良い仕事、そのスタッフがやる仕事とで一緒にチェックして可視化することで、そのスタッフの負担が軽減されます。ぜひ一度、スタッフそれぞれの業務量を見直してみてください。