歯科医院で新人スタッフが感じる不安は、入職して間もない時期ほど大きくなりがちです。

先日、顧問先の歯科医院で、入職して間もない歯科助手さんの面談を行いました。
50代の女性で、入職から実質3日目。カレンダー上では1週間ほど経っていますが、休診日が重なり、現場に立ったのはまだ3日です。

それでも、彼女の中ではすでに「不安の渦」が大きくなっていました。


受け入れ体制が整っていても、不安は生まれる

医院側の受け入れ体制は整っています。
教育担当のスタッフがそばにいて、分からないことはすぐに聞ける。
チェックシートもマニュアルもある。
環境としては、決して悪くありません。

それでも、不安は生まれます。


「分かっている」と「できる」は、別の話

彼女は以前も歯科医院で働いた経験がありましたが、担当は受付のみ。
診療アシスタントの経験はゼロでした。

カルテは読める。
病名も、治療の流れも、頭では理解できる。
専門用語も「聞いたことはある」。

けれど、「それが実際に何なのか」「どう動けばいいのか」は分からない。
器具の名前と実物が結びつかない。
物の場所が分からない。
準備も片付けも、すべてが初めて。

この状態でチェアサイドに立つ不安は、想像に難くありません。


新人スタッフが一番つらい「分からないことが分からない」時期

「分からないことが分からない」
新人スタッフが一番つらいのは、まさにこの段階です。

知識が足りないから不安なのではなく、
全体像がつかめないまま、時間だけが過ぎていくことが不安を大きくします。


不安の中でも、前を向こうとする気持ち

それでも彼女は、「今は不安だけど、まずは一つずつ理解したい」と話してくれました。
次にやるべきこととして挙げていたのは、
準備と片付けなどの基本をしっかり覚え、スムーズに動けるようになること。

これは、「早く一人前になりたい」という焦りではなく、
業務全体への不安を少しずつ減らしたいという、とても健全な気持ちだと感じました。

不安はある。
でも、投げ出したいわけではない。
ちゃんとやっていきたい。


「できそうに見える」までには、もう少し時間が必要

この姿勢が確認できたことは、医院にとっても大きな安心材料です。
ただし、まだフォローが必要な段階であることも事実です。

「大丈夫そう」に見えるようになるまでには、もう少し時間がかかります。
だからこそ、次回は2週間後に再度面談を行う予定です。


教育とフォローは、同時に進めるもの

仕事を教えることと、気持ちを支えることは、別物です。
ほんの少し話すだけで、不安が軽くなることもあります。

新人スタッフの不安は、能力の問題ではありません。
環境と時間、そして「見てもらえている」という実感で、必ず変わっていきます。


医院の中の小さな変化を、見逃さないために

医院の中で起きているこうした小さな変化を、見逃さずにいきたい。
私たちは、そんな伴走を大切にしています。

最後に、この面談後、院長先生からこんなお言葉をいただきました。

「面談なんてなかなかできないから、お願いして良かったです。この後もお願いしますね。」

この一言は、私たちにとってとても励みになりました。
日々の診療に向き合いながら、スタッフ一人ひとりの気持ちにまで目を向けることは、決して簡単なことではありません。
だからこそ、現場の負担を少しでも減らし、安心して診療に集中していただけるよう、これからも伴走していきたいと改めて感じています。