地方歯科こそ“戦略”が求められる理由
田舎 歯科医院 集患は必要ない──そう考える先生は少なくありません。しかし人口減少と高齢化が進む地方こそ、戦略的な集患が将来の医院経営を左右します。
本コラムではその理由を解説します。「田舎は患者さんが勝手に来るから、集患は必要ない。」
そんな声を地方の歯科医院の先生から聞きました。
しかし、現場で多くの地方歯科を支援してきた立場から断言すると、
田舎こそ集患は“必要”です。
ただし、都市部とは“戦い方”が違うだけだと思います。
本コラムではその理由と、地方ならではの集患ポイントを解説します。
1. 人口が減る地域で「待つ経営」は通用しない
都市部以上に深刻なのが、地方の人口減少です。
人口が減れば、当然ながら 歯科受診者も減る ため、
これまで通りの「口コミだけで自然増」は期待できません。
実際、
- 新患数が年々減っている
- メンテナンス患者の高齢化で通院が不安定
という声は、多くの地方歯科で共通しています。
“来てもらう理由”をつくる経営 が必要な時代に入っています。
2. 高齢化が加速すると、患者導線は大きく変わる
地方ほど高齢化が早く進むため、
患者さんが
- ひとりで運転できない
- 家族の送り迎えが難しい
- 公共交通がほとんどない
といった“通院課題”を抱えます。
結果として、
「行きやすい医院」=選ばれる医院
という構図がさらに強くなります。
実際に、地方のある歯科医院では、
患者送迎サービス を始めたことで口コミが一気に広がり、
高齢者層の来院が安定したケースもあります。
地方ならではの“生活課題”に寄り添う取り組みこそ、
最も強い集患につながります。
3. 訪問歯科は“田舎の最強資源”になる
都市部に比べて、地方では 訪問歯科に力を入れる医院が目立ちます。
これには理由があります。
- 高齢化率が高い
- 通院困難者が多い
- 在宅医療・介護との連携が密
- 地域包括ケアが浸透している
こうした環境では、訪問歯科はただの周辺業務ではありません。
“地域に不可欠なインフラ”として機能し、強力な信頼形成を生みます。
■ 訪問歯科が集患につながる理由
- 医科・施設・ケアマネとの連携が口コミを生む
- 在宅で関わった家族が、外来の患者として来院する
- 「最後まで診てくれる医院」として地域に定着する
- 外来→訪問、訪問→外来の相互循環が生まれる
つまり訪問歯科は、
医療的価値×地域貢献×口コミ
の三拍子が揃った、地方ならではの強力な集患施策です。
4. ライバルが少なくても、選ばれる理由は必要
「うちは競合が少ないから大丈夫」と考える先生もいますが、
これにも注意が必要です。
地方でも
- 若手の新規開業
- 分院展開
- 診療特化型クリニックの進出
は増えています。
患者さんが情報を得る手段は都市部と同じくスマホ中心。
だからこそ、
“なぜこの医院を選ぶのか?” を明確に示す必要があります。
これが USP(独自の強み) の設計です。
訪問歯科・送迎・地域貢献は、
まさに地方歯科の強力な強みになり得ます。
5. 地方の集患は「派手な広告」ではない
地方で強い集患とは、SNSやSEOだけではありません。
むしろ効果が大きいのは、次のような“地域密着の施策”です。
- 初診時の丁寧な説明と信頼構築
- スタッフ接遇によるファン化
- 地域の保育園・学校との連携
- 医科や包括センターとの連携
- 患者送迎・訪問歯科など生活課題のサポート
地域全体とつながっていくことこそ、地方で最も効く集患です。
6. “田舎だから大丈夫”という考えは、10年後の差になる
地方の歯科医院は、
人口減少・高齢化・競合増加という環境が重なり、
戦略の有無が未来の患者数を大きく左右します。
集患とは、派手な広告ではありません。
「選ばれる理由をつくり、見える化し、地域に貢献すること」
これこそが、田舎の歯科医院に最も必要な“集患の本質”だと感じます。