― 期限を過ぎた今、掲載していないことの“リスク”を改めて確認 ―

2024年度の診療報酬改定で義務化された「施設基準に関するホームページ掲載」。
対応期限は2025年5月末でしたが、現在(2025年10月時点)、まだ対応が完了していない医院も見受けられます。

ディー・プラス・エス株式会社では以前からこの点をお伝えしてきましたが、今回はあらためて、「掲載していないとどうなるか」を説明します。


掲載を怠ったままにするとどうなるのか

施設基準のホームページ掲載は、単なる形式的な手続きではなく、診療報酬を正しく算定するための法的要件の一部です。
未掲載のまま放置していると、以下のようなリスクが現実的に生じます。


1. 行政指導・監査の対象となるリスク

施設基準の掲載義務を怠ることは、「療養担当規則」などに違反する可能性があります。
その場合、地方厚生局や都道府県による行政指導や立ち入り検査(監査)の対象となることがあります。

指導を受けた際に改善が確認できない場合は、厳重な是正指導や報告命令が出される可能性もあり、経営上の信頼に影響を与えます。


2. 診療報酬の返還・算定停止のリスク

施設基準の掲載は、加算を算定するための要件の一部です。
そのため、ホームページに必要な情報を掲載していない場合、算定要件を満たしていないと判断されるおそれがあります。

その結果、

  • すでに請求した加算分の返還を求められる可能性
  • 今後、該当する加算を算定できなくなるリスク
    が生じます。

単なる掲載ミスであっても、「要件を満たしていなかった」と見なされることがあるため注意が必要です。


3. 患者からの信頼低下

掲載義務化の目的は、医療機関の体制や加算内容を「患者に分かりやすく伝える」ことにあります。
掲載していない状態が続くと、患者から

「なぜ情報が載っていないのか?」
「何かあるのかな?」

といった疑念を抱かれることもあります。

また、費用負担に関わる加算(例:医療情報取得加算、外来感染対策向上加算など)を説明していない場合、トラブルやクレームにつながるケースも報告されています。


4. 医療広告ガイドライン違反の可能性

ウェブサイトは「広告」とみなされます。
施設基準を掲載していないこと自体が問題になるほか、掲載内容が不十分・誤解を招く表現になっている場合は、医療広告ガイドライン違反の指摘対象となることもあります。

特に、「国から認定を受けた」「優良な施設として認められた」などの表現は誇大広告にあたる可能性があるため、注意が必要です。


5. 経営上の信頼・評価への影響

施設基準を適切に公開している医院は、患者や地域社会に対して

「必要な体制を整え、透明性のある医療を行っている」
という姿勢を示すことができます。

一方で、未掲載のまま放置していると、法令遵守や情報発信への意識が低い医院と見なされるおそれも。
行政・患者・地域いずれの信頼にも関わる問題です。


「義務だから」ではなく「信頼を守るため」に

施設基準の掲載義務化は、医療DX推進の一環として「患者が安心して選べる医療機関」を可視化することを目的としています。
つまり、掲載は“形式”ではなく“信頼の証”でもあります。

ディー・プラス・エス株式会社では、

  • 掲載が必要な項目の整理
  • 医療広告ガイドラインに配慮した文章作成
  • ホームページへの反映や更新代行

までを一貫してサポートしています。


✅ 今すぐ確認を

  • 対象となる施設基準はホームページに掲載されていますか?
  • 掲載内容は最新ですか?
  • 院内掲示と矛盾していませんか?

もし一点でも不安がある場合は、今からでも遅くありません。
正確な掲載を行うことで、今後の指導・返還リスクを防ぎ、患者からの信頼を守ることにつながります。


まとめ

施設基準のホームページ掲載は、義務を超えて「信頼」「透明性」「経営安定」を守るための取り組みです。
期限を過ぎた今だからこそ、あらためて自院の対応状況を見直しましょう。